読んだり、書いたり、編んだり 

なのはな(萩尾望都)

なのはななのはな
(2012/03/07)
萩尾望都

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どこで読んだのだったか、"『なのはな』及び全ての作品を讃えて"と、萩尾望都がジェンダーSF研究会から生涯功労賞をうけた(※)というニュースをみて、マンガのリクエストをなぜか受け付けないというルールがある近所の図書館にあるか?と検索してみたら、あった。ので、借りてきて読んでみる。

2011年3月11日の震災で起こった福島での原発事故。次々と建屋が爆発し、そのなかで政府も電力会社も「大丈夫」と言っている。萩尾望都は、「胸のザワザワが止まらず、といって誰に聞いていいか解らず、何も手がつかないまま」(p.156)だったという。

キュリー夫人がラジウムを発見したところから始まる放射性物質の歴史を調べながら、萩尾望都は「人々がこの奇跡のような新しいエネルギーに魅了され、のめり込んで行く様子はハラハラします」(p.157)と書く。その力への欲望が、危険だと解っていても逃れられない呪縛のように思えて、ウランやプルトニウムを擬人化した三部作のアイデアが浮かんだのだという。
夢のエネルギーとほめそやされた原子力。その平和利用が原発だという。だが、ひとたび放射性物質が拡散されれば、汚染で100年住めない土地も出てくるかもしれない。それでも何百万人の死者が出る戦争よりましなのではないかと、ウラノス伯爵(ウラン)は問いかける。人間のすべての望みをかなえてあげると、プルート夫人(プルトニウム)は幻惑する。

原発の推進派と反対派とのあいだで繰り返されてきたやりとりをなぞるように、ある人たちはウラノス伯爵に魅せられ、ある人たちはこんな危険人物はないと言う。危険な魔女・プルート夫人を、人間は地下深くに閉じこめようとするが、プルート夫人の火と熱をさます前に、自分たちが先に死んでいく。

フィクションでなければ描けないなと思いつつ、ノンフィクションとして、放射性元素発見から、その利用を企ててきた人間の歴史を、萩尾望都の漫画で読んでみたいとも思った。

表題作の「なのはな」と、巻末に収録された続編「なのはな―幻想『銀河鉄道の夜』」は、原発事故後のフクシマで生きるナホと兄の学[ガク]、そして津波で行方不明になったおばあちゃんの話。

受賞の言葉(萩尾望都)

(7/31了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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