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知っていますか?出生前診断一問一答(優生思想を問うネットワーク)

知っていますか?出生前診断一問一答知っていますか?出生前診断一問一答
(2003/02)
優生思想を問うネットワーク

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これも、以前に読んだ本だが、あらためて借りてきて読む。「はじめに」では、「医療現場で出生前診断が行われるようになって30年余りになります」(p.1)と書かれている。この本が出たのが10年前、つまり、私が生まれた頃から、出生前診断は行われるようになってきたということ。

それは、原発が動きはじめてからの年月ともほぼ同じやなあと思う。技術が、社会の中でどうかということを十分考える機会のないまま、導入されてきた、という点で、両者のあり方は似ている気もする。

この本で示されている「問」は18。なかでも、「治療法のない重い障害」だったら診断は必要なのでは?という問7のことは、ぐぐぐっとくる。そういう子は生まれてもかえって不幸ではないか、という意見に対して、どう答えられるのか。

本には、人によって何が不幸だと感じるかは違うということや、どこからが重篤だと線引きすることは難しいと書いてある。
私は、近視や乱視、老眼など目がわるくなってメガネをかけることを、考えてみる。生活習慣を変えるとか手術を受けるとかで、多少の改善はあるかもしれないが、いちどわるくなったものはそうそうよくならない。完全な治療法は、ないといえばない。見えにくくなった不便さを補うためにメガネをかける。

「治療法がない」ことが、社会的な生活を阻害するというのは、うまくあうメガネがまだないとか、メガネがあるにはあるが高すぎて手が出ないとか、メガネをかけるのはおそろしく不幸だと思われているとか、そういうことでもある。

目をわるくする人はたくさんいるし、メガネはずいぶん安価で手に入るようになった。つまり、「目がわるいこと」は、生きていくうえでそう大きな障害にはならない(少なくとも私にとってはそうだ)。女の容姿にとってメガネが不細工なものだというような考えがあった頃には「メガネブス」といった罵りもあったというし、あまりに分厚いレンズのメガネをかけている子どもは「ビン底」と囃されることもあったかもしれないが。

カラダの個性をフォローし、支える手立ては、メガネのようなモノだけじゃなくて、人の関わりもある。でも、そういうモノや関わりがあって、こんな風に生きていますという姿がなかなか見えないうちは、不安を感じたり、不幸だと思ってしまうこともあるのかもしれない。メガネをかけた人がこれだけたくさんいることに比べれば、人工呼吸器ユーザーなどは、まだまだ見えにくいのだろう。

少数派の生きている姿に出会う機会は、どうやったらつくれるだろうと思う。

この本のあつかう「問」
問1 出生前診断にはどういうものがあり、何がわかるのですか?
問2 現代社会では、有害物質や環境悪化など人体への影響が危惧されるわけですから、出生前診断を受けたほうが安心なのではないですか?
問3 出生前診断を受けて胎児の疾病や障害の有無がわかったほうが、治療や生まれてからの準備に役立つのではないですか?
問4 血液検査だけで、胎児の障害の有無がわかる検査があると聞きました。採血だけで簡単にわかるのであれば、検査を受けてもいいのではないでしょうか?
問5 私は遺伝性疾患を持っているので、生まれてくる子のことが心配です。出生前診断を受けたほうがいいのではないでしょうか。
問6 最近、受精卵を調べて障害や遺伝病の有無を検査する方法が話題になっていますが、女性の心身の負担を軽くし、健康な子どもを産めるのなら、問題ないのではないですか?
問7 治療法のない重い障害の場合に限れば、出生前診断は必要なのではないでしょうか?
問8 出生前診断を受けるか受けないか、障害をもって生まれてくるとわかった場合に中絶するかしないかは、妊婦やパートナーが決めることだから、診断自体を問題にしなくてもよいのではないですか?
問9 出生前診断について障害者自身はどう思っているのですか?
問10 出生前診断について、障害をもつ子どもの親たちは、どのように考えているのでしょうか?
問11 そもそも出生前診断の技術は、女性のからだを介して行われるものですが、妊娠・出産・中絶に関する法律はどうなっているのですか?
問12 優生思想という言葉をあまり聞いたことがありません。どういった考え方なのですか。
問13 諸外国で優生思想を国の政策として実施した具体的な事例はあるのですか? 問14 ナチス・ドイツでは、障害や疾病をもつ人たちが大勢殺されたといいます。そのことについて詳しく教えてください。
問15 障害や疾病をもつ人たちに対して行われた断種や不妊手術は、日本ではどのように行われたのですか?
問16 戦前の日本でも、国民優生法という法律があったそうですが、それはどういった内容で、どのような経過で制定されたのですか。
問17 優生思想とは、過去の問題ではないのですか?
問18 では、私たちは、出生前診断や、妊娠、中絶、出産に関する問題について、どう考え、どう取り組んでいけばいいのでしょうか。

(7/13了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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