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境界を生きる 性と生のはざまで(毎日新聞「境界を生きる」取材班)

境界を生きる 性と生のはざまで境界を生きる 性と生のはざまで
(2013/02/26)
毎日新聞「境界を生きる」取材班

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毎日新聞で連載された「境界を生きる」が、加筆・修正されて本になったもの。とくに、性分化疾患(インターセックス)と、性同一性障害(トランスジェンダー)について、当事者や家族の経験、病院や学校、地域での対応、偏見の厚さと、それを破った事例などを取材している。表紙カバーのモデルは、小林空雅[たかまさ]さん。

空雅さんは、定時制高校の弁論大会で、「眠っている間さえも、本当の性別と異なる性の体と生活している違和感から逃れることができません」(p.136)と性同一性障害であることを公表し、その苦しみを訴えた。「…自分がコンプレックスだと思うことは、他の人からすれば気に留めることはないのかもしれません。自分(の体)が嫌なことに変わりはありませんが、それがあなたの個性だと言われると、少し気持ちが軽くなります」(pp.140-141)とも。

▼この世界は「男」と「女」だけでつくられていると考えている人は多いだろう。…
 普段の生活でも、トイレや制服、レンタルビデオ店の登録も、男女いずれかを選ばされることが当たり前だ。私たちはそんな社会で暮らしている。(p.10)

"性別"という大きな制度が、「生きたいように生きる」こと、「安心して生きること」を難しくさせている。何かに名前を書いたり、申し込んだりするときに、「男・女」という欄があると、(これは、何のために必要なのだろう)と考える。

全く悪気はないのだろうが、子どもが生まれた話には、ほぼもれなく「どっち?」という問いがつくし、恋バナの場面では、女性には「彼氏」、男性には「彼女」が相手だという前提を疑うことなく、話はすすんでいく。全く悪気のない人に、"性別"を当然視することの重さを伝えるのは難しいとよく思う。
取材班が、エピローグにこう書いている。
▼…性別のあり方、感じ方は人によってさまざまだった。自分は男女半々だと感じている人や、男女の間を揺れ動く人、男性か女性かはっきりしていて揺らがない人、男女どちらとも思えない人…。男か女か、二者択一を迫られる社会の中に、これほど多様な人たちがいると知るにつれ、「性別って、一体何なのだろう」という疑問が強くなった。(p.228)

釧路から送ってもらった「まじくる」誌の2号に、「セクシャルマイノリティじゃなくて、セクシャルバラエティだよ」という話があって、その「セクシャルバラエティ=セクバラ」というのが、めっちゃええなと思った。バラエティのどこかに、自分もいる。「セクシャルマイノリティ=セクマイ」という言葉は、ちょっと変わったあっち側の人という印象をどうしても与えるが、バラエティには、誰でも皆が含まれているという安心感のようなものがある。

▼性別のあり方に苦しむたくさんの子どもや若者が、心の危機を抱えながらぎりぎりのところで生きている。そんな社会をつくっているのは、私たち一人一人に他ならない。人々の意識が変わることで、救える命がある。
 無関心という「罪」をこれ以上深めてはいけない。(p.233)

救える命と、そう書かれるほどに、切羽詰まっている人たちが、声もあげられずにいる。すぐ隣にいる。

(5/6了)

『くらしと教育をつなぐWe』誌での連載より:

リレーエッセイ 一人ひとりのLGBT
 『We』180号(2012年10・11月号)特集: 分断を超えてレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど、「LGBT」は多様な性を生きる人たちを指す言葉。 このリレー連載では、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)と自認する一人ひとりに、"それぞれ違う私"を語ってもらい、その存在と声を伝えます。
      180号よりスタート(執筆者は毎号かわります)
      http://femixwe.cart.fc2.com/ca19/78/p-r3-s/
 
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ドキュメンタリー映画の小林茂です。ケニアのストリートチルドレンの思春期を描いた拙作映画「チョコラ!」が下記のように、大阪桃山学院大学で開催されます。私も、現地でNGO活動をされています松下照美さんも参加します。よろしかったらおいでください。
http://www.andrew.ac.jp/newstopics2/2013/05/post-420.php
【開催日時】

開催日: 5月28日(火) 
時  間: 開場 14時50分 /開始 15時
映画終了後、小林茂監督、松下照美さん(NGO団体「モヨ・チルドレン・センター」)とのトークショーがあります。
(18時 終了予定)
会 場: 桃山学院大学 ハイビジョンシアター(2号館301教室)(324名収容)

事前申し込み不要。どなたでも自由にご参加いただけます。
問い合わせ先
学校法人桃山学院 入試・広報課
〒594-1198
大阪府和泉市まなび野1番1号
TEL 0725-54-3131(代)
FAX 0725-54-3203
e-mail koho09@andrew.ac.jp
URL http://www.andrew.ac.jp
「チョコラ!」上映  [URL][Edit]






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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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