読んだり、書いたり、編んだり 

よろこびの歌(宮下奈都)

よろこびの歌よろこびの歌
(2012/10/05)
宮下奈都

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この人の本は、太陽と豆がなんとか…いうタイトルの小説を読んだことがある。いい本だったなという印象が残っていて、こないだ文庫の棚を見てたら、これがあったので、借りてみた。

舞台は、新設の私立女子校。高校演劇をテーマにした『幕が上がる』の「歌」バージョンというか、「歌」をテーマにした高校生群像のものがたり。

ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7つの章のタイトルは、ザ・ハイロウズの歌のタイトルからつけられている。それぞれの章は、同じ高2の6人のものがたりで、話のキモになる御木元玲には最初と最後の章があてられ、他の5人の同級生の話があいだの章で書かれている。

お互いが、どういう位置にいるか、どういう関係にあるか、ということが、この7つの章を読むなかで、だんだんわかってくる。同じクラスメイトに対してもつ感情は、それぞれに異なり、憧れもあれば、敬遠もあり、さして関心がないという距離もある。

年間行事のなかでは、ほとんど"やっつけ仕事"のような合唱コンクールが、クラスで「歌」に取り組んだ最初。指揮者として推薦されて、御木元玲は自分なりにクラスの練習をすすめようとするが、どこかちぐはぐなことになる。「音楽は楽しい」はずが、こんな練習楽しくないよとクラスメイトから率直に言われもする。

合唱コンクールはぼろぼろだった。うまく歌えず、クラスはまとまらず、玲は音楽に対するわずかな自信も失いかけた。
その玲が、歌のはじまりはこういうものだったのかもしれないと思ったのは、マラソン大会でやっと最後にゴールしようとする自分にむけて、クラスメイトたちが一人また一人と集まり、声をあわせて歌ってくれた歌だった。合唱コンクールのときとは、まるで違う歌に聞こえる。

▼よろこびや、祈りや、誰かに届けたい思いを調べに乗せる。同級生たちが私に向かって─おそらくは学校一、足の遅い私を励ますために─いつのまにか声を合わせたように。その自然な感情の高まりこそが歌だったんじゃないか。(p.41)

そんな歌をきっかけにしたものがたりの中で、同級生たちは、自分とむきあい、自分たちを見つめ、心を通わせあっていく。

女生徒たちの一つひとつのものがたりもよかったけれど、古文の教師のボーズもなかなかよかった。

ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シと章がすすむにつれて、読み終わるのがもったいなくなり、シの章が終わったら、またドに戻って、もういちど、ゆっくりゆっくり読んだ。

(4/13了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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