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安心ひきこもりライフ(勝山実)

安心ひきこもりライフ安心ひきこもりライフ
(2011/07/30)
勝山実

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「勝ち犬・負け犬じゃない、狛犬だぜ!」(『We』183号)の槙さんと話していて出てきた本を読む。図書館で借りた本の表紙を見て思い出したが、出た頃に(読んでみたい)と思ってチェックしたまま忘れていたやつだった。

私とあまり歳のかわらない著者の勝山さんは、ひきこもり歴20年という。その経験をもとに、悪いひきこもりの暗黒面(親を見返してやろうという怨念、親の期待に全部応えて黙らせてやるというどす黒い欲望、就労活動についやしたがゆえの挫折感、後悔、自己否定、劣等感、等々)について、ひきこもりビギナーたちに、同じ轍を踏まぬよう注意を与えつつ、「安心ひきこもり」への道を説く。

勝山さんの話は、"ひきこもりをいかにして就労させ、社会参加させるか"という、ひじょうによくある問題設定をぶっとばしていて、そこがぐぐっとおもしろかった。槙さんが"就労支援してる気はない"、"仕事=ゴールとは思ってない"と言うのに通じるとこだと思う。

▼詰め込み教育だろうと、ゆとり教育だろうと学校で身につくのは学力ではなく、奴隷力です。工業生産向きの奴隷力を生徒に押しつける。競争で勝ち残ったやつが偉いという常識に対して、ひきこもりができることは「参加しない」ということに尽きます。(p.13)

▼人間は一人ひとり違うだとか、人生まわり道したっていいと言っておきながら、最終的には賃金労働者になるというたったひとつの頂上しか知らないような、自立支援ツアーに参加して遭難することのないよう、ひきこもりヤングはくれぐれも注意すべきです。(p.69)

参加しない!
これヤロ、という気がした。
▼ひきこもり支援は、現在の社会を維持したまま社会の外側にいる人間を社会の内側に放り込むのではなく、社会を変化させるものでなくっちゃいけない。ひきこもりでもやっていけるぞ、そんな気骨が大切なのです。例えば…働かないのに死なないひきこもりは、格差社会を支配している「働かないと死ぬしかない」という恐怖をやわらげるでしょう。アイツら生きているじゃないか、この現実が社会の最底辺を持ち上げます。(p.225)

社会を変化させるものでなくっちゃ、というところがイイ。

▼怠けるとは21世紀を生きる現代人が身につける社会性のひとつだと思います。一人ひとりがきちんと怠けることで、戦争もなくなるのです。(p.182)

そうだ、たぶん。怠けて、だらーんとしていて、ぼんやりしていて、それで戦争につっこむことにはならへんやろう。

▼半人前を切り捨てるのではなく世の中に半人前を取り入れ、自由に出入りできる仕組みを作る。それが、多くの人に幸せを与える。半人前理想主義万歳。(p.94)

自由に出入りできる仕組みは、どうやったら作れるか?

槙さんは、「宮澤賢治やシュバイツアー博士や野口英世や一休さん、キュリー夫人…誰もサラリーマンいてないですよね」と言っていた。就活=会社に入る、ということではないだろうと思うが、世間様ではそういうことになっているらしい。会社に入れないと大変なことになる…といわんばかりの就活中の不安が、就職できたら消えるんかというと、そうでもなさそうだ。

▼○○しないと大変なことになる。これには実態がない。わからないものに恐怖している、わからないから恐怖を感じる。脱ひきこもりをかけて必死に働いても、この恐怖と不安はなくならない。働けば、新しい恐怖と不安が現れるのです。就労とそれで得たものを維持し続けなければいけない。そんな恐怖に怯えることになります。いかがなものでしょうか。(p.87)

なんとなく学校へ通い(通うことができ)、なんとなく就職して(就職できて)、多少の愚痴をこぼしながら働いている自分を振り返る。なんども職場を替わりながら、アップというよりは、むしろダウンしていって、できることなら、もう少し降りたいと思っているいま。「働く」って、自分にとって何やろうと、つくづく考える。

(4/4了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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