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この世は二人組ではできあがらない(山崎ナオコーラ)

この世は二人組ではできあがらないこの世は二人組ではできあがらない
(2010/02/24)
山崎ナオコーラ

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なんだかおぼえられないタイトルで、「二人組」がなんとかっていうナオコーラの本、と言っている。この人のデビュー作は、天地左右と行間がこんなに空いてる本があるんか!と思うくらい、すっかすかだった印象が強い。

この二人組の本は、「社会とは一体なんであろうか。」という一文から始まる小説で、なんだか不思議な読後感が残った。紙川さんと私=シオ、ともに1978年うまれの二人が、どうしてこうしてああした、という話なのだが、ところどころに差し挟まれる時代やら社会についてのコメントが、たぶんそういう印象を与えるのだろう。

たとえば、こんなとことか。
▼芸能人の結婚報道は、「つき合っている」だとか、「一緒に暮らしている」だとか、「式を挙げる」だとかよりも、「いつ戸籍の届けを出したか」に焦点が当てられる。
 やはり、「日本」が、「個人」や「個人と個人のつながり」を。どう捉えているかが、「私たち」の、「他人」や「他人同士の関係」を見る基準になっているのだ。(p.66)

あるいは、こんなとことか。
▼私は社会の中で、権利や主義を主張したいという気持ちが全く起きない。だが、私が主張する必要を感じない理由は、前の世代の女たちが頑張ってこの社会をつくったあとに成人したからなのかもしれない。(p.153)
私と紙川さんとの間は、近づいたり、離れたり。
4ヶ月だけ早くうまれて、早生まれだから学年は一つ上になる紙川さんに、私がこんなことを言ったりする。まるで、栗田隆子さんがいま『We』で書いている「気持ち悪い男」みたいだ。

▼「あのさ、紙川さんは、いつも上から喋っているんだよ。私と紙川さんは、同じ78年生まれなのに、紙川さんは、時分の方が私よりも年上だと思っているんだよ。たしかに学年で言えば、紙川さんの方がひとつ上だけど、学年って何? 24になっても、学年ってあるの? いつまで学年があるの? なんで上から喋るの? どうして教え口調なの?何かを教えてもらいたくて人づき合いをしているわけじゃないんだから、私の得になるような情報を喋ろうとするのを止めて欲しい。教わりたくないの。私は、紙川さんから何かを吸収したくてつき合っているわけじゃないの。教えようとしたり、優しくしようとしたり、可愛がろうとしたりするのを、止めて欲しいの」(p.69)

そして、私は、いちどは一緒に住んだ紙川さんと別れ、小説を書いていこうとする。自分と紙川さんとの関係をふりかえりながら、この世間における女と男の関係のあり方を考察してみたり、役所へ行って分籍してみたり、親にあれこれ言われたり、職場でなんやかやと言われたり、そういう中で、「二人組」について考える私。

そして、小説を書くこと、どう書くかということも、私は考える。
▼好きな人に向けて書かない。身近な人ではなく、遠くにいる、会ったことのない人の感受性を信じて、言葉を発信するのだ。(p.167)

これは、やはり1978年うまれである作者の"自伝的"な物語なのだろうか、とも思う。

▼私の人生のロールモデルは男が多い。金子光晴、トリュフォー、ゲンズブール、クリムト、彼らのようにだらしなく、ふらふら、穏やかに、エロティックに生きたい。
 私の恋愛対象は男で、ファッションも性格も女っぽいが、性自認は男っぽかった。社会の中で、自分を女だと考えることには、苦しさが伴った。(p.156)

この人の、また別の話を読んでみたくなった。

(3/2了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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