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老人介護 常識の誤り(三好春樹)

老人介護 常識の誤り老人介護 常識の誤り
(2006/04/25)
三好春樹

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『We』182号で話を聞いた丸尾多重子さん(まるちゃん)が、介護中に三好春樹の本を知り、追っかけになったという話を聞いて、私も久しぶりに三好本をひもとく。

私が三好春樹の本をどこで知ったのか記憶は不確かだが、最初に読んだのは、医学書院から出ていた『介護覚え書』か、『老人の生活リハビリ』か、とにかくこの2冊がはじめだった。いまから20年くらい前、91年か92年のころだ。学生だった私は赤鉛筆で線を引いたりしながら読んでいた。母の病気のことが、わかった頃だったかもしれない。

まだ三好春樹の本はそんなにたくさん出ていなかったが、私はその後も三好本を見つけては読んでいた。そして、たしか96年だったと思うが、三好春樹の講演会が近所であるのを私がせっせと三好本を読んでいたのを知っていた友だちが教えてくれた。私ははりきって聞きにいき、「ブリコラージュ」もすぐ申し込んで、10年くらい購読していた。96年には、母はもう車椅子を使っていた。

まるちゃんが最初に読んだ本だという『老人介護 常識の誤り』を私も久しぶりに読んで、やっぱりこの人おもしろいなーと思う。そして、あらためて読んで、三好春樹は、生きる「主体」は誰なのかということを、言ってるんやと思った。
この本の6章では、「老人が主体の新しい介護技術」についての解説がある。初めて三好の本を読んだときに、立ちあがるときに頭はどう動くのか、飲み込むときに身体はどういう位置にあるかと、自分の身体を意識したことを思いだす。

立ち上がりの移乗動作の介助のときに「体を密着させて介助しないと腰を痛める」と介護教室では教えられているだろうが、それは誤りだと三好はいう。

▼体を密着しろ、という指導は、老人を"物"として見ているのである。"物"なら体に近づけて持ちあげるほど楽になる。赤ちゃんでもそうだ。でも老人は"物"でも赤ちゃんでもない。老いと障害があっても、少しでも自分の足で体を支えようとしている主体なのである。その"主体"を生かせば、介護も楽になるのである。(p.272)

この"常識"をひっくりかえした話に、たぶんまるちゃんはほれたんやろうなーと思う。もっと早くにこのことを知っていたらと、力任せにやっていたという介護のことを、まるちゃんは悔いていた。

▼介護とは、単に高齢者の数が増えたから必要とされるようになったのではなくて、人々の抱える問題が多様化、個別化した現代に、その多様で個別的なニーズに応えるために必要とされているのである。
 つまり介護とは一人一人の個別の状態を把握し、個別のニーズを把んで、マニュアルなんかに頼らない個別のアプローチを創り出していくものなのである。
 私が介護に必要なのは二つのソーゾーリョク、つまり想像力と創造力だ、と言い続けてきたことの理由はここにある。(p.24)

そのソーゾーリョクは、生きる「主体」のことをわかろうとして、わからなくても思いをはせるところで、いかされるのだと思う。

(1/9了)
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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