読んだり、書いたり、編んだり 

坂道(壺井栄)

壺井栄『坂道』岩波少年文庫(1958年初版、伊勢正義・絵)壺井栄『坂道』岩波少年文庫
(1958年初版、伊勢正義・絵)

岩波少年文庫に壺井栄のどんな話が入ってたのやろと古いのを借りてきた。1958年初版で1977年に21刷りの本は、かなり汚れていた(この岩波少年文庫は、もういま絶版かなにかみたいで、図書館で借りるしかなさそう)。

まだ『二十四の瞳』を読んで、『雑居家族』を読んで、あと『女性たちの戦争』に入っていた短編を一つ読んだきりだが、この岩波少年文庫におさめられてる十数篇の話は、どれもちょっとずつ『二十四の瞳』で、ちょっとずつ『雑居家族』だ。

たとえば表題作の「坂道」に出てくる堂本君は、まるで『雑居家族』で転がり込んでくる進君のようだし、「あしたの風」の夏子は、『二十四の瞳』の大石先生の子のようだし、それというのも、「これらの作品は終戦をまん中に挟んだ七八年間に発表したものばかりで、いわば、戦争が書かせた私の童話」(p.253、あとがき)だからなのかもしれない。
収録されているのは、「むかしの学校」「あひる」「港の少女」「朝の歌」「小さなお百姓」「おみやげ」「小さな先生 大きな生徒」「あしたの風」「夕顔のことば」「あばらやの星」「妙貞さんの萩の花」「ヤッチャン」「十五夜の月」「餓鬼の飯」「あたたかい右の手」「やなぎの糸」「坂道」。

いくつかの話では、壺井の故郷・小豆島のことがどこかに書かれ、いくつかの話では、戦中そして戦後のことが書かれている。

「十五夜の月」で描かれる、毎年春になると淡路から船にのってやってくる「でこしばい」、浄瑠璃にあわせてうごく人形しばい、というのは、淡路島の人形浄瑠璃ではなくて、木偶なんやろうなと思う。たしか『日本の放浪芸』の本に出てたか(*)。

*手元にある本を確かめると、「でこまわし」という言葉が出てくる。
▼…淡路[淡路島]はいまも人形遣いの大勢住むところです。この淡路島と鳴門海峡を挟んで対するのが、阿波の国鳴門、そしてそこに注いでいるのが吉野川。この吉野川をさかのぼる流域にもまた、たくさんの人形遣い、でこまわしと呼ばれる人々が住んでいたようですし、いまでもあっちの町に一人、こっちの村に一人と、噂を聞きました。(pp.38-39、『日本の放浪芸』

(1/27了)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/4575-821d2bd7
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ