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70年代 若者が「若者」だった時代(週刊金曜日)

70年代 若者が「若者」だった時代70年代 若者が「若者」だった時代
(2012/10/13)
週刊金曜日

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暮れに、『アフター・ザ・レッド』を読んで、そのあとに読んだ『新左翼とは何だったのか』は、内ゲバの話でうんざりして最後まで読まず。図書館で「連合赤軍」と検索してみたらこの本が引っかかり、70年代か~と思って借りてきてみた。

『週刊金曜日』で2009年から2012年に連載された「70年代の光と影」をまとめたものらしい。連載を進めるにつれ浮かび上がったキーワードは「解放」「自由」だった、という。

1970年から79年まで、さまざまな切り口で70年代が書かれる。ウーマンリブ、家永訴訟、日本万国博、あしたのジョー、三島由紀夫と高橋和巳、ニクソンショック、日活ロマンポルノ、二十歳の原点、連合赤軍事件、神田川、水俣、セブンイレブン、つかこうへい、松本清張、東アジア反日武装戦線、ベ平連、村上龍と村上春樹、岸辺のアルバム、京都・東京・大阪の革新知事…
70年代、私は生まれてはいたが、子ども心に記憶にあるのは、大阪で革新府政を実現した黒田了一知事のあとに、黒田を破って当選した岸昌知事のことくらいだ。この岸が勝った選挙のころ、ポスターの黒田の顔が、顔面神経痛かなにかだったのか、ちょっとゆがんでいて「こっちの人の顔いがんでるー」と言った記憶がある。学校では「冬景色」のさいごのところを替えてうたっていた。「さぎりき~ゆる~」と始まり、「いまだ~さ~めずき~しさかえ~」と。

そんな記憶もあって、この本の巻末の「蜷川・美濃部・黒田革新知事とTOKYO作戦」はおもしろかった。そうか、黒田二期めの75年府知事選では、共産単独推薦の黒田が、自民の推す元副知事と社公民の3党が推す私大学長を大差で破ったのかと、いまではほとんど想像もできない選挙結果にあらためておどろく。

そして、次の府知事選で黒田三選阻止にむけ、社公民3党と自民の間にブリッジ共闘が仕掛けられ、副知事の岸が擁立された。選挙母体は「新しい大阪をつくる革新府民連合」、この名もいまではちょっと考えられない。まさに"看板は「革新」、実態は反共産勢力の総結集"だったという。

黒田の初当選は71年、二期8年をつとめ、79年の府知事選に黒田は破れるが、そのときも岸と黒田の得票差は12万票。自社公民と財界をあげての選挙戦に、黒田は充分奮戦したといえるだろう。

この章を書いた村上恭介はこう書いている。
▼革新自治体の多くは短命に終わったものの、遠い存在であった自治体行政を市民の近くに引き寄せた。住民対話の精神は、住民投票や情報公開を求める市民運動に引き継がれている。仕事を通じて住民の暮らしを守ろうと努める自治体労働者も少なくない。蜷川の唱えた「見えない建設」(住民自治)はひそかに息づいている。(p.376)

川本輝夫さんと水俣のことを書いた章も印象に残った。「「無償の価値」が乗っ取られてゆく」「存在の根本に立ち返る」という小見出しがぐっとくる。

▼70年代初頭は60年代後半の「闘争の世代」に含まれる。デモも、集会も、立て看板も日常の風景だった。だが、連合赤軍事件以降、キャンパスは焼け野原となる。一方で、経済発展というモルヒネが社会をマヒさせていく。「革命」に取って代わったのは「カネ」だった。
 エコノミックアニマル、小市民、生活保守主義という言葉が生まれた。カネがすべての時代は受験競争を激化させ、「身の回り1メートルのことにしか関心のない」人々を大量生産した。「命よりカネ」の社会は「公害」問題を生み、社会に深い影を落とす。かくして、70年代後半は80年代、90年代のバブルへとつながっていったのだ。(p.2)

この時代に、もし自分が10代、20代だったら、あるいは中高年という歳だったら、とちょっと想像してみる。たとえば母や父にとって、70年代は3人の子をもって、育てた時期なんやなと。

(1/25了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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