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二十四の瞳(壺井栄)

二十四の瞳二十四の瞳
(2005/04)
壺井栄

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[この本のことは、『We』182号の「乱読大魔王日記」で書いています]

ことし、最初に買った本のひとつが壺井栄の『二十四の瞳』。きっと図書館にはあるのだろうが、まだ正月休みで開いておらず、むしょうに読んでみたくなって買った。

『二十四の瞳』といえば大石先生と12人の子ども、というくらいはコクゴの教科書のすみか文学史の便覧で読んだのか、ずっと前から知っていたが、実際に本を読むのは初めてだ。

映画化されているという知識だけは入っていた私のアタマに浮かぶのは、檀ふみ演じる先生と子どもたち…しかしそれはよくよく思い出してみれば「兎の眼」の映画であった。

そういえば、高峰秀子の対話集『いっぴきの虫』の中に、映画「二十四の瞳」で子役をしたその後の子らとの対話があったと思い出して、そこを読んでみる。映画では大石先生を演じた高峰秀子は大正13年のうまれで、『二十四の瞳』の12人、昭和3年に一年生になったという子らの歳に近い。
物語の冒頭では「普通選挙法というのが生まれ」とあり、ああ戦後の話かと思いそうになるが、時は昭和3年、それまで金持ちの男だけに選挙権があったのが、男なら誰でも選挙権がもてるようになったという頃である。女の選挙権はまだ先の話で、旧民法では女は無能力者と扱われていた時代だ。

物語は、その春に岬の分教場に入学した1年生12人と、分教場の「おんな先生」だった大石先生との、それからの20年ばかりを描く。

赴任したときには師範学校を出たばかり、はたちそこそこだった大石先生は、物語の最後では40代になる。12人の教え子は、大正の終わり頃のうまれで、この世代は男はもっとも戦死率が高い。それはこの岬の村でもはっきりあらわれていて、同じ村に育った同い年の男子5人のうち、3人は戦死し、1人は失明除隊する。

女子7人のゆくすえにも、この時代の女の位置がはっきりあらわれている。貧しさの影は、とりわけ女子の上にあらわだ。貧しさと戦争と、そしてものいえぬ窮屈な空気と、そういうものが書かれている物語でもある。

そんな時代のなかで、おそらくは明治の終わり頃の生まれであろう大石先生は、「自由」や「反戦」の考えをどこで養ったのだろうと思うくらい、「いま」の時代からみても共感のもてる人物で、そこが、この物語の時代は古いものの、古くさく感じないとこかなと思う。

(1/12了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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