読んだり、書いたり、編んだり 

夜の光(坂木司)

夜の光夜の光
(2011/08/28)
坂木司

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2012年さいごの一冊。この作者の名前は「ブックマーク」の本のアンケートでどなたかが書いていたことがあって記憶していたが、私のアタマの中ではなぜか「坂本司」に変換されていた。「坂本司」でいくら検索しても出てこんと思ったら、棒が一本なくて、坂「木」司だった。

いちど読んでみたくて、予約がないのを借りてみた。ぴらっと著者略歴をみると、同い年の人だった。しかも覆面作家だと書いてある。その昔、北村薫も覆面作家だったというが、はたして坂木司はどんな人なんやろ、、、と思いながら読む。

戦場とよぶ高校で、部員は「週に一回部室に集まり、季節ごとに夜空を望遠鏡で観察すること」というだけのゆるゆるの天文部に集まった4人の話が書かれていく。

それぞれの章には、ちょっとした謎があり、4人の経験と推理で、それが解かれていく。血なまぐさいシーンがない謎解きという構成は、大崎梢風でもある。
昼間はクラスもグループも別々の4人、「いっそ俺たちの関係をずっと秘密にしてみるのってどう? スパイみたいにさ」という提案で、スパイ活動のためのコードネームがついた。

コードネーム=ブッチ、ギィ、ゲージ、ジョーの4人の行動は、だからといって何ら変化はなかったが、互いの携帯アドレスを知ったおかげで、観測会や定例会の連絡はとりやすくなった。4人がどんな人物であるのかは、話のなかで徐々にわかってくる。

たとえばジョーには弟がいて、少々前時代がかった両親は「男は大学を出なければいけないが、女は必ずしもそうではない、だから塾の費用は弟に回し、私には家事を手伝わせる」。けれど皮肉なことに、ジョーがもっとも得意なのは勉強で、よき理解者である弟は姉の勉強好きをわかって、「あーあ、俺、女だったらよかったのに」とつぶやく。ある日の料理当番でつくった一皿を「良く出来てるじゃない」と母にほめられるのはうれしいが、父の「これでいつでも嫁に行ける」という一言で喜びは台無しになる。

4人それぞれに、親や家族との間に大なり小なり葛藤があり、ここを出たい、今と違う時間を過ごしたいという思いがある。その気持ちのとんがり具合は、私も10代の後半を思い出して、わかるなーと思ったりする。

4人が集まる観測会での、飲み食いの場面がいい。とりわけ、コーヒーショップでバイトをしているギィが、食事が一段落していれるコーヒーの場面。うちの周りはちょっと明るすぎて、星はほとんど見えないけれど、コーヒーカップを片手に夜空をみあげたくなる。

(12/30了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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