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ライファーズ 罪に向きあう(坂上香)

ライファーズ  罪に向きあうライファーズ 罪に向きあう
(2012/08/21)
坂上香

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アリゾナ州ツーソン、というと大昔に父が滞在していたところだ。私は行ったことがないけれど、大きなサボテンがうつった赤茶色の土地の写真を見たことがある。そのツーソンにある、犯罪者や薬物依存者の更正施設アミティを、著者の坂上香さんが初めて訪れたのは1995年。以来、なんどもアミティを訪れながら、償いと回復をめぐる旅を坂上さんは続けてきた。

▼人は自らが受けた傷を越えて、いかに成長することができるか。犯した罪に、いかに向きあうことができるのか。暴力に満ちた世界を、いかに変えられるのか。TCのアプローチはこれらの問いに、いかに応えることができるか。(p.40)
※TCとは、Therapeutic Community、治療共同体、回復共同体と訳されている

アミティ代表者のナヤは、この課題をアミティという新たな旅路に託した。1981年のことだ。この『ライファーズ』は、旅路の記録でもある。
アミティの更正プログラム参加者は、自分の過去の経験に向きあっていく。加害者の多くが、悲惨な虐待体験や暴力被害の体験をもつ。ずっと蓋をしてきたその体験と感情を掘り起こすのは、容易ではない。それでも、仲間に支えられ、一足先にプログラムを経験したデモンストレーターの助けを得ながら、その体験を名付け、受けとめていく。そのときのことを繰り返し語るなかで、自分にとってそれはどういうことなのかに気づいていく。一人ではとてもできないし、長い時間を要する作業だ。

ある加害者は、仲間の語った加害経験に自分を重ねて、こう言った。
▼俺もかつては敵対するギャングに対しては、相手がどういう人間だろうと構わなかった。敵としか思わなかったから。アミティに来てから、被害者に顔を与えるということを学んだ。相手を人として見ることでようやく、自分がしたことに対して感情が湧く。それが反省につながる。…俺に起こったことも、彼に起こったことも同じだと思う。(p.177)


暴力から自由になるための旅。
今までと異なる未来を築くことにつながる、語りを通した自分、そして他者との接点。

「ライファーズ 終身刑を超えて」という映画はまだ見たことがないのだが、この本を読み、あわせて『アミティ・「脱暴力」への挑戦』『癒しと和解への旅』を読んで、映画もみてみたいと思った。

(10/28了、11/8二読)
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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