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「僕のお父さんは東電の社員です」小中学生たちの白熱議論!3.11と働くことの意味(毎日小学生新聞/編+森達也)

「僕のお父さんは東電の社員です」小中学生たちの白熱議論!3.11と働くことの意味「僕のお父さんは東電の社員です」
小中学生たちの白熱議論!3.11と働くことの意味

(2011/11/25)
毎日小学生新聞/編+森達也

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2011年3月11日に起きた震災から3週間が過ぎようとしていた頃、「突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です。」に始まる手紙が、毎日小学生新聞の編集部に届いた。毎小が2011年の3月27日に掲載した北村龍行さんの「NEWSの窓」に対する反論である。《ゆうだい君の手紙》として、私もいつ頃だったか、その断片を読んだおぼえがある(ゆうだい君というのは仮名)。

この本は、その《ゆうだい君の手紙》、北村龍行さんの「NEWSの窓」のテキスト全文とともに、ゆうだい君の手紙をうけて、多くの読者が寄せた投稿(小学生のみならず、中高生や大学生、大人からの手紙もある)を編み、巻末に森達也による「僕たちのあやまちを知ったあなたたちへのお願い」という文章を収めて、本にしたものである。

この本を読んでみようかなと思ったのは、『We』180号で分科会報告を掲載した坂内智之さん(郡山市の小学校の先生で、『放射線になんか、まけないぞ!』の著者)が、担任の小4クラスで、この《ゆうだい君の手紙》に対する意見文を書き、毎小に投稿、全員の作文がこの本に載っているとおっしゃっていたからだ。
毎小に寄せられた「手紙」は、氏名もしくはイニシャルに(小学4年生)といった学年情報を付して、並べられている。個々の書き手については、作文に書いてあれば居住地(大阪とか関東とか郡山とか)が分かる程度。おそらく「小学4年生」と並んでいる作文のなかに、坂内学級のものも混ざっているのだろう。(もしかして、これは坂内学級の子の作文かな)と思うのもあった。

小学生の子どもたちが書いてきた「手紙」、そして中高生や大学生、大人が書いてきた「手紙」を、つぎつぎと読んでいると、ちょっと眠くなってきた。

「東電が悪い」「政府も悪い」「電気を使ってきたみんなが悪い」というようなことは、大人の新聞でも(もう少し表現は込み入っているにしても)繰り返されている。「電気がないと困る」「みんなで節電しよう」「原発は二酸化炭素を出さない」というようなことも、やはり大人の新聞で、何度も言われている。

そういう"いろんな意見"を取り入れたり入れなかったりしながら、各自はものを考えているのだろうし、その意見を"誰が言ってるか"ということを見て、参考にしたりしなかったりもするのだろうし、子どもたちも、たぶんそんな風に、いろいろ考え、「手紙」を書いてきたのだろう。

これだけまとめて読んだせいもあるのだろうが、私が眠くなってきたのは、子どもの作文が、大人の語彙や考えの縮図のようで、古新聞の原発関連記事をまとめて読んだような疲れを感じたせいもある。

この本に収録されてる大人からの「手紙」には、"こんなことが書けるなんて、子どもスゲー"風のことも書いてあったけど、私はそんなにスゲーとは思わなかった。

ただ、子どもたちも、原発や電気、それらと自分たちの生活といったことに、関心を持たざるを得ない事態であるのだ、とは思った。

巻末では森達也が、子どもたちへの説明なのか説得なのか、もひとつよくわからない文章を縷々書いている。その中で、ここは印象に残った。

▼今回の福島第一原発事故で、これまで知らなかったいろいろなことがわかってきた。でもそれらすべてが、これまで政府や東電によって巧妙に隠されていたわけではない。(略)本当ならばもっと早い段階で、(僕も含めて)多くの人が、「ちょっと待ってよ」と言わねばならなかった。でも言わなかった。偉い人や多くの人が問題視していないのだから、自分が問題視する必要はないだろうと思っていた。いや、それも嘘だ。自分をごまかしてはいけない。そもそも関心すら持っていなかった。どうにかなるだろうと思っていた。だからこんなことになったのだ。(pp.176-177、森達也)

「そもそも関心すら持っていなかった。」

(10/18了)
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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