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リビイが見た木の妖精(ルーシー・M. ボストン)

リビイが見た木の妖精(ルーシー・M. ボストン)リビイが見た木の妖精
(1996/07/15)
ルーシー・M. ボストン

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これもへのへのもへじ文庫で借りてきた一冊。熱でややぼーっとしつつの読書。そのせいか、リビイが学校のハーフタイムを過ごしたジューリアの家、大地のかおり、森があり、その向こうに山があり、また森がある風景、たえまない水の音とたくさんの鳥のうたが聞こえるという風景が、こころに浮かぶようだった。

「さらさら川」のそばにあるジューリアの家は、とても古くて、ほうぼうに余分な隅っこや壁のへこみがある。ドアを入るとすべてが見渡せるリビイの住む現代風の家とはまるで違う。ひげが蜘蛛の巣のようにやわらかくて「くものす」という名の犬が、リビイの相手をし、道案内にもなってくれる。

「くものす」に連れられて川の淵であそんでいたリビイは、突然の雨でジューリアの家へ戻る。雷鳴がとどろき、空に穴があいたように雨がふりだし、夜になっても情け容赦なく降りつづけた。この大雨で、さらさら川はふだんのおしゃべりをやめてしまい、ものすごい勢いで流れていた。ジューリアは、水源地近くの山に大雨が降ったから、洪水になるかもしれないという。

「へいき?こわくないの?」
「こわくないわ。おもしろいわよ、きっと」
川の水は増水し、もともと川床だったジューリアの家の庭には水が噴き出す。川の淵にあった、りっぱなニレの木は、地割れと、根を洗う激しい水の流れに、きしみ、とうとう倒れてしまった。

その晩、リビイは木の精ドリュアースに会う。すすりなくその女の子に、リビイはなぐさめの言葉をかける。

「あなた、木がなくなったので、ないているんでしょ? 特別りっぱな木だったもの。あなたの木だったのね? 月は二度とあの木の上に照ることはないわ。でも、ないちゃだめよ」

そしてベッドへつれていき、あなたがまた新しい木をみつけるまでの仮の住まいだと、木の幹と葉のもようのカーテンをぴったり閉めて《樹の家》をつくり、女の子の長い髪をなんどもブラシしてやった。その一夜の、夢のような経験。

ドリューアスの新たな住み処、シナノキの若木に、リビイは「予約済」と貼り紙をして、そしてハーフタイムの休暇を終え、両親のもとへ戻る。

胸のときめく冒険をしたあとなのに、「たのしかったんでしょう?」と話を聞きたがる母に、リビイはうまく話せない。あたまのなかは、わくわくするような思い出でわきかえっている。うまく言えないことは、そのまま心の中に大切にしまっておくことにしたリビイ。これが、思春期のはじまりなのかもと思った。

もう一つの「よみがえった化石ヘビ」も、心ときめくお話。
偶然にも割れた石垣用の石からみつかったヘビの化石。博物館の館長さんからも貴重な化石だ、譲ってもらえないかと打診されるが、みつけたロブは「ちゃんと大事にしますから」と、自分の寝室にもちかえる。もし生きているヘビなら、ここが気に入るだろうと、スチームの下に押し込んで「いい子だから、ゆっくりと暖まっていてね」と化石に話しかけるロブ。

そして、スチームで暖まった化石ヘビは、生き返り、ブロンズ色で、とぐろをまいてロブの前にあらわれる。そのヘビを「ラー(太陽神)」と呼び、他の人にみつからないように注意ぶかく、ラーに餌をはこびながら、ロブとヘビは友情をつちかっていく。ロブの練習するリコーダーにあわせてヘビは踊り、互いにみつめあう。

ラーはロブの家から外にも出るようになり、その姿を目撃されてしまう。丘をのぼったところにある秘密の場所に、ロブはラーを離してやった。しょっちゅう会いにくるからとラーに語りかけ、ロブとラーはかなしい別れのダンスを踊る。

ラーがもう自分の手に負えぬほど大きくなったことを知ったロブは、ある月夜の晩にラーのねぐらを訪ね、ラーとの最後のダンスを踊った。そのラーの神々しい姿が、月あかりのなかに見えたようだった。

(10/4了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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