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ふしぎなオルガン(リヒャルト・レアンダー)

ふしぎなオルガンふしぎなオルガン
(2010/03/17)
リヒャルト・レアンダー

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口琴というと、アイヌの「ムックリ」くらいしか知らずにいたが、金属製もあったり、さらには、昔は日本にも金属の口琴があって「びやぼん」と呼ばれていたそうだ、などという話を、9月の初めにおしえてもらった。

それで、何か本があるかなと図書館の検索窓に「口琴」と入れて引いてみると、このリヒャルト・レアンダーの本が出てきた。この童話集のなかに「コショウ菓子の焼けないおきさきと口琴のひけない王さまの話」という一篇があるのだ(この本では「くちごと」とルビが振ってある)。

せっかくなので、借りてきて読んでみた。「口琴のひけない王さま」がひけないのが、びよよーんと鳴らすこの楽器なのかどうかは話を読むだけでは判然としないが(なにせ、ひけないのだからその描写がない)、「口笛」を吹ける王さまなので、そういうのと取り違えてる風ではない。

この本におさめられているのは美しい創作童話で、こういうのを久しぶりに読んだなと思った。昔読んだり、読んでもらったりした話を思いだすところがあり、それでいて、ふと自分の今の生活のことを考えてしまうような、読後感。
作者のレアンダーは、1830年にうまれ、1889年に没している。ドイツの医者で、独仏戦争の際には軍医監として出征し、ドイツ軍のパリ攻撃に参加した。長らく続いたこのパリ攻撃のあいだ、レアンダーはふるさとのことや、ふるさとに残してきた子どもたちのことを思いおこし、同時に自分がまだ子どもだったころの思い出や夢やまぼろしがよみがえってきて、それらを書きつけ、野戦郵便に託して、ふるさとの子どもたちのところへ送った。この本にまとめられている童話はそうしてできたものなのだという(そういう話は、ほかにもあった気がする)。

1980年に書かれた訳者のあとがきには、新版を出す際に「小さな黒ん坊とこがね姫」を割愛したとある。「時代による制約とはいえ、そこにおのずと息づいている、一種の差別意識の影響を案じたから」(p.264)という。私が読んだ本は、さらに2010年に新版として出されたもので、編集部による付記があり、また一篇「小さなせむしの少女」を、「現在の人権意識に照らして」割愛したとある。

現代の人権意識に照らして、それらがどんな話なのか、旧版も読んでみたい。

*「口琴」とか「びやぼん」などとネット検索していて、日本口琴協会という団体があることを知る(URLに「koukin」とあるように、ここでは「こうきん」とよむらしい)。

(9/25了)
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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