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電通と原発報道―巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ(本間龍)

電通と原発報道―巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ電通と原発報道
―巨大広告主と大手広告代理店による
メディア支配のしくみ

(2012/06/19)
本間龍

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なんだったか忘れたが、どこかでこの本のことを見て、図書館に予約していた。だいぶ順番待ちで、こないだ届く。うしろにまだ予約待ちの人がいるので、早めに読む。

著者はむかし博報堂にいた人だそうである。博報堂に勤めていた頃から原子力資料情報室の会員でもあったそうで、「原発問題に強い関心があり、いつか原子力発電所で重大事故が起きるのではないかと危惧」(p.3)していたと書いてある。

この本は、その筋ではデンパクといわれる電通、博報堂=大手広告代理店の「クライアントの意志を忠実に代行する」という在り方に注目し、宣伝広告費によってつながれた「巨大クライアント(東電や電事連など)」と「大手メディア」との関係を書いている。
それぞれの地域の独占企業状態である電力会社は、競争相手はおらず、宣伝広告などなくてもよさそうなものだが、ところがどっこい、湯水のように宣伝広告費をばらまいて、そのカネにものをいわせて、メディアを支配していたし、今もそうだ──という話は、電気料金がどういうふうに決まるかという話(総括原価方式)とあわせて、この1年半くらいの間に、けっこう人口に膾炙した気がする。

カネの力は凄いものなのだろう。デンパクも、ある意味、カネで動いてきたのであって、それはカネを出すクライアントの意向を「どのような手段を用いても貫徹しようとする」社員の意志や行動力となって、結果としておかしなことになったりもしてきた(たとえば、電力会社の社員が会社の立場を述べたりすることもあった、あのエネルギーについての意見聴取会づくりを請け負ったのは博報堂である)。

この本にも紹介されている、日本原子力文化振興財団が作成したマニュアルは、もの凄い。1991年に科学技術庁の委託をうけてつくられたというこの「原子力PA方策の考え方」(PA:パブリックアクセプタンス=社会的合意形成)は、「ウソも100回言うたらホンマになる」の見本のごとし。

あまりにも巨額のカネが動いていて、私にはちょっと想像が及ばないが、そのカネを向いて仕事をせなあかんとしたら、「なんで?」とか「そんなんおかしくないか?」とか、言うてられへんのやろか。

こういう本を読んでいると、広告を載せずに発刊されてきた『暮しの手帖』のようなメディアのありかたは異端?少数派?デンパクなんかからしたら、ありえへんのかなーと思う。その誌面づくりは、雑誌を一冊一冊買ってくださる読者を向いてなされているのだ。

自分の財布を開いて、数百円の雑誌を買うこと。自前のメディアを、あるいは自分たちが欲しいメディアを持ちつづけるには、そこが大事なことやなあと思う。『We』のような小さな小さな雑誌を出すにも、それなりの経費はかかるから、ビンボー会社の社員としては、時に(どっかから、どかーんとオカネが降ってこないものか…)と思ったりもする。けど、一人ひとり、一冊一冊を買って読んでくれはる人たちを向いて、丁寧に仕事をしていくこと、そして、なんじゃこりゃと思ったら、それをちゃんと出せる場であるように…と思う。

(9/14了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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