読んだり、書いたり、編んだり 

算法少女(遠藤寛子)

算法少女算法少女
(2006/08)
遠藤 寛子

商品詳細を見る

前に読んだ本を久しぶりに借りてきて読む。また読んでもおもしろい。実際に江戸で出された「算法少女」をもとに書かれた、数学好きの少女のはなし。

父から算法の手ほどきを受けていた町娘のあき。あきが算法の勉強に夢中になることを、母は「女が算法をやってなんになる」と言い、「いくらやったって、くらしの足しにならないのに」と嘆く。母にそう言われることは、あきにとってつらい。(おかあさんは、算法のすばらしさをすこしもわかってくださらない)とさびしい気持ちになる。
ある日あきが観音様に奉納された算額の誤りをみつけ、それを指摘したことを聞き及んだ藩主から、姫の算法指南役にとあきに声がかかる。貧しい人の泊まる木賃宿で病人が出ると親切にみてやるあきの父は、お礼の金銭にはあまり頓着せず、あきの母は家賃を払うのにも事欠くことが多くて困っていた。大名のお屋敷へあがるなんて、そんなきゅうくつなことはごめんだと思っていたあきだったが、扶持が入れば暮らしのたすけにもなると思い、その話をひきうけようとする。

しかし、あきに算額の誤りを指摘された少年の師匠が、関流の実力者であったことから、あきの登用に難色を示し、あきが学んだ上方算法と、江戸の関流算法を学んだ同じ年頃の娘と、力試しをという話になっていく。この娘同士の算法腕くらべの話もおもしろいのだが、今回読みなおして、あきが、木賃宿に泊まる者の子どもらを集めて、算法など手習いをみてやるところが印象に残った。

木賃宿・松葉屋の主人は、あきに子どもらのことをこう語る。
「お嬢さん、ここの子は、みんな文吉とにたようなものですよ。手習いにも、そろばんにも縁がないまま、奉公へでることになります」
「行儀も悪いのですが、だれもかまってやるものがありませんのでな。ここへ泊まっている客は、みな遠国からだいじな用をもって出てきているものですから、子をつれてきても、めんどうはみてやれぬのです。ちょっと大きくなれば、しごとを見つけてはたらきにいきます。小さい子が遊んでいるあいだに、せめて、読み書き、そろばんなど、少しは習わせたいとおもいますが、ただで教えてくださる奇特な人はありませんし…」(pp.92-93)
 
その話を聞いて、父にも相談し、あきは子どもらの勉強をみてやることにした。松葉屋の主人も、あいている座敷をかたづけて、ふるい机をならべてくれた。あきが算法をみてやるほか、あきの友だちのけいや千代も、ひらがなの読み書きをおしえる役をひきうけた。

子どもたちが熱心に勉強するようすを読んでいて、震災後に、郡山の避難所で勉強会を始めたという坂内智之さんの話と重なるようだった。

同じちくま学芸文庫から『和算書「算法少女」を読む』が出てるのを発見。今度はこれを読んでみたい。

(8/24了)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/4448-fd5f265d
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第39回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ