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雪と珊瑚と(梨木香歩)

雪と珊瑚と雪と珊瑚と
(2012/04/28)
梨木香歩

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雨がきそうな曇り空のした、ベランダのゴーヤぼうぼうの脇で風に吹かれながら読む。やや字の小さい、なかなかつまった本だったが、半日ほどでいっきに読んでしまう。

産んだ子を一人で育てようとする珊瑚。
雪の日にうまれたその子、雪。

雪と珊瑚って何やろうと思っていたら、タイトルは二人の名だった。雪を育てながら珊瑚が暮らすそのまわりにいる人たちと、お腹にあたたかく入っていく食べもののことが印象的な物語。
「赤ちゃん、お預かりします」の貼り紙で出会った、くららさん。
珊瑚のことを偉いすごいと言う美大生の由岐。
珊瑚を嫌っているとしか思えない美智恵。

いろんな人がいる。21歳で、ひとりで子どもを育てようとする珊瑚にむけられるのは、善意だけではない。

▼子どもを持つと、世界が善意にあふれている、と感じる瞬間と、一人のとき以上に心細くなる瞬間とがある。あの人も、そういうことを感じたことがあっただろうか、と、ストレートの長い髪を思い出す。(p.260)

「母親から教わる一般常識」が自分には欠如しているのだと、折に触れて珊瑚は思う。だから、パン屋の雅美さんが注意してくれることも、ありがたくうけとめる。

雅美さんたちが店をたたむことになり、珊瑚は、起業のための融資をうけてカフェを開こうとする。カフェを開く話というと平安寿子の『コーヒーもう一杯』を思いだす。苦労して苦労して、撤退することになった、あの未紀のカフェとちがって、珊瑚のカフェはなかなかうまくはこぶ。平安寿子が徹底して書くリアルさに比べると、ちょっと宙に浮いた感もあるけれど、珊瑚が、人の手を借り、過去とも向きあい、雪という子がいて、こぎつけた場所なんやなあと思った。

読んだあとに、「ブックマーク」読者の、簡にして要を得たこの本の感想を読んで、なるほどと思う。

(8/11了)
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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