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3.11後の東日本で起きたこと 避難移住者たちの手記(東日本原発事故体験者ユニット 内部被曝から子どもを守る会 関西疎開移住(希望)者ネットワーク編)

3.11後の東日本で起きたこと 避難移住者たちの手記『3.11後の東日本で起きたこと 避難移住者たちの手記』
東日本原発事故体験者ユニット 内部被曝から子どもを守る会 関西疎開移住(希望)者ネットワーク編

先日の「内部被ばくを生き抜く」上映会&避難者のお話を聞く集いのときに頼んでいた『避難移住者たちの手記』が届く(表紙のデザインが、私のところに届いたやつはちょっと違うけど)。

福島第一原発の事故をきっかけに、西日本へ避難・移住してきた方たちが書いた手記。なぜ避難・移住せざるを得なかったのかを記すのは、「東日本全体におよぶ放射能汚染の実態を伝え、将来、子どもたちに健康被害が出たときの闘いのため。地域や家族から孤立しても避難移住してきた親たちが、家族や西日本で理解者を増やしていくため。避難・移住を希望する家族が、必要な理解や支援を受けられるように。私たちが経験したことを、二度と繰り返さないため。私たち自身が表現し、伝えていくことで、このぎりぎりの闘いを回復と希望として明日につなぐため。」(p.3)

それぞれの人が、避難移住を決めるまでに、「気にしすぎ」「心配しすぎ」「神経質」と言われ、子どもや自分の体調の変化に怯え、自分の判断が間違っているのか?と悩みぬいていた。そして、もっと線量が高いところで暮らす子どももいるのに、自分が逃げていいのかという葛藤もかかえていた。西日本へ来てからも、福島からならともかく、東京や千葉、埼玉から逃げてくるのは「気にしすぎ」「心配しすぎ」「神経質」という声に悩まされている。

読むのがちょっときつかった。でもこの「あなたの気にしすぎ」と抑えられてしまうのは、何かに似ていると思えて、何やろう何やろうと思いながら読んだ。
福島の二本松から京都へ避難移住されたHさんが書かれたこんな一節が、ぐっとくる。

▼今、岐路に立たされているのは被災地ではなく無関心だった日本中かもしれないと感じます。私も以前は知っていながら声をあげずにいた無関心の一人だったことを心から後悔しています。こんな思いをもう誰にも味わって欲しくないと願います。もう一度、一緒に考えてみませんか。まだ原発事故は終わってなんかいません。今、福島で、東北で、東日本で何が起きているか、耳を傾けてみてください。知ろうと思ってください。見ようと思ってください。想像してみてください。(p.22)

昨日は、原発肯定論やろうな~これは…という古い本(大熊由紀子『核燃料―探査から廃棄物処理まで』朝日新聞社、1977年)を読んだこともあり、いまの大熊さんは原発について何と言うかわからないが、『核燃料』を書いた大熊さんは、この避難者の手記を読んだら、何と言うだろうと考えたりした。

たとえば、大熊さんのサイトには、「教育とは専門家が施すもの」という常識を真っ逆さまにひっくり返すという「でんぐりがえしプロジェクト」の話が書いてある。当事者の発信、体験者ならではの提言をという研修を、病気を体験した人々を教師に、医療や福祉の専門家を生徒にして、おこなったものだ。

原発事故をうけ、避難移住してきた当事者の声を、かつて『核燃料』を書いた大熊さんはどう受けとめるやろう? もしかして、あの本と同じように、放射線は自然界にもあって、たいしたことはないのだ、びくびくするのは間違っていると言うだろうか? あるいは、体験者の声に学び、誰もが当事者になりうる問題だと言うだろうか? そこが、正直、知りたい。

大熊さんのサイトの、たばこの毒性や発がん性について書いた「たばこの部屋」や、防ごうとすれば防げたはずの薬をめぐる悲劇について書いた「くすりの部屋」の記述を読むと、ここに並んで「放射性物質の部屋」があってもいいような気もするのだった。

手記は1冊300円+送料
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(7/26了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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