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はるまき日記: 偏愛的育児エッセイ(瀧波ユカリ)

はるまき日記: 偏愛的育児エッセイはるまき日記: 偏愛的育児エッセイ
(2012/06/29)
瀧波ユカリ

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『江古田ちゃん』を描いた人のコドモ本が出ているらしいのはチェックしていたが、現物をみる機会がなく、久しぶりに立ち寄った駅のなつかしの本屋で発見、ぴらぴらっと見たらまんがが入ってて、その4コマにぐぐっと引き寄せられたこともあって、ついそのまま買ってしまう。あとで確かめると、『江古田ちゃん』の6巻も前後して出てるらしい(これは同居人があとでぽちぽちと注文)。

プロローグまんがに続いて、登場人物紹介。江古田ちゃんは、もとい、瀧波ユカリは1980年うまれだと初めて知る。本屋でぺらぺらっとやったときは、もっとまんががあったような気がしたが、笑わせる扉写真をはさんで、間はほとんど字で(イラストがときどき入っている)、エピローグまんがで終わる。

ところどころで、ツボにはいって、ぐふふふふふふふと笑いつつつ読む。
先に『江古田ちゃん』を読んでいるという私のバイアスもたぶんあるが、コドモ、そして夫や自分、周りの人たちを観察しそれを書きとめた記録としてのおもしろさがある。

おもしろかったところはいろいろあるが、たとえば、ある日(コドモ4ヶ月のころ)のこんな日記。かってに「~~だから、こうだよね」的解釈を披露され、それを怒るに怒れなくて困る話。

▼「結婚したら性格が丸くなったね」「妊娠してから顔が優しくなったんじゃない?」「子供産んでからやっぱり母親らしくなったね」なんてことをこの数年言われまくっている。そういうのって「やけにイライラしてるね、今日生理?」って言われるのと同じくらい返事に困るのだけれど、みんななんだかうれしそうに言ってくるもんだから怒り出すわけにもいかない。それに怒ったところで「ホルモンの関係で怒りっぽくなってるんだね…」と言われてしまうのがオチだ。世間は既婚・子持ちの女性は菩薩のようであってほしいと強く願っているようだ。
 私の結婚や妊娠や出産は、あなた達が私を都合良く解釈するための道具ではありません。(p.64)

怒るに怒れないキモチに共感しつつも、あるときには自分が「~~だから、こうだよね」的解釈を垂れ流していることもあるやろうな、、、と思う。

オムツ替えの楽しさを発見した話もおもしろかった。
瀧波ユカリが出産前に一番不安だったのは、オムツ替えだったという。自分のブラジャーだって1週間同じのを着けっぱなしにするような自分が、子供のひんぱんな排泄のたびにオムツ交換などしてやれるわけがない、地獄だと思っていた、だがそれは杞憂だったと。オムツ替えは面倒ではあるが、「何が出るかな♪何が出るかな♪」的な楽しさがあると。

▼今日、ネットで「子供のオムツを替えるのがどうしても嫌なんだけどどうしたらいい?」という父親からの相談を見つけた。彼に足りないのは、親としての意識とか子供に対する愛情とかではなく、人生を楽しむ才能だと思う。きっとオムツ替えを嫌がるような男とデートしてもつまらないだろう。オムツの中身を見ながら、一緒に心から笑ってくれる夫でよかった。(pp.60-61)

2011年3月11日の震災以降、N○Kの番組「お○○さんといっしょ」に異変が起きていた話、つまり、震災の影響でスタジオ収録に子どもが参加することが見送られているらしいこと、しかし「そんな説明は番組内ではいっさいしない。誰がどう見ても普段と違うのに、出演者は「え? いつもと何ら変わりありませんよ?」という態度で、こちらをうっすらと不安な気持ちにさせる」(p.128)といった記述に、瀧波ユカリのセンサーの鋭さを感じる。

怖くて怖くて仕方がなくなって、3月15日、瀧波ユカリは、めったに買わない正規料金でヒコーキに乗り、コドモを連れて北海道の実家へ帰った。北海道で飛行機を降りて、体中の筋肉が弛緩したという。4月にいちど東京へ戻るが、「真偽のわからない情報に踊らされるのはこりごりだ」と、事態が落ち着くまでと北海道へ移住する。

この育児日記の連載をしていた1年をふりかえり、「あとがき」で、瀧波ユカリは「私は変わったなと思う」と書く。「良い悪いではなく、「女」から「母」になったとかそういう話でもなく。ただいろんなところが、いろんなふうに変わった。」(p.253)と書いている。

その変わったということが、ものすごく印象に残った。『江古田ちゃん』の6巻はどんなんなってるんかな~

(7/22了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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