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マルコヴァルドさんの四季(イタロ・カルヴィーノ)

マルコヴァルドさんの四季マルコヴァルドさんの四季
(2009/06/16)
イタロ・カルヴィーノ

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こないだ読んだ『マルコヴァルドさんの四季』は安藤美紀夫訳だった。ふと、訳者違いの版違いが出てるのを見つけて、図書館で借りてきて、またマルコヴァルドさんの話を読む。この新版は関口英子訳。

表紙カバーに使われている絵は違うが、イラストはかわらずセルジョ・トーファノ。

新版には、作者のカルヴィーノ自身による解説もおさめられていて、それを読んで、マルコヴァルドさんのお話は最初に書かれたものが1952年(60年前!)で、最後のは1963年に書かれたということも知る。もう半世紀前のイタリアで書かれた話が、どこか今の日本社会を思わせる。
▼マルコヴァルドさんは、数多くの失敗を経験しながらも、けっして悲観的になることはありません。彼に敵意をいだいているようにも見える世界のなかで、自分らしさを感じることのできる世界につながるぬけ道を見つけようという心を忘れないのです。なにがあってもあきらめず、ふたたび挑戦する心の準備が、いつだってできています。
…(中略)…
 世の中のできごとや状況にたいしては、ものすごく批判的なまなざしをむけながら、人情にあふれた人びとや、あらゆる生命のきざしにたいしては好意にみちたまなざしをむける…そんな、身のまわりの世界をながめるときのマルコヴァルドさんのまなざしにこそ、この本の教訓があるといえるのかもしれません。(pp.271-272、作者による解説)

おもしろいところはいろいろあるが、もう一度読んでもおもしろかったのは「がんこなネコたちの住む庭」の秋の話。昼休みのあとの時間つぶしに、ネコのあとをつけて歩くマルコヴァルドさん。ネコの目を通していろいろな場所を観察すると、「見なれたはずの会社のまわりの風景に、いつもとちがったライトがあたっているように」感じられる。おまけにマルコヴァルドさんは、ネコの背丈になって、つまりはよつんばいになって、ネコのあとをついて歩いたりするのだ。

イタリアの大都会の真ん中に住んでるというマルコヴァルドさんは、ぎんぎんに都会的なものには目もくれず(まったく目に入らないらしい)、しかし、木の枝で黄色くなった葉っぱや、屋根瓦にひっかかっている鳥の羽根、馬の背にまとわりつくアブ、テーブルにあいた木くい虫のANA、歩道にはりついているイチジクの皮…などは見逃さない。

都会の野蛮人のようなマルコヴァルドさんの話を読んでると、マルコヴァルドさんとはちょっと違うけれど、『隅田川のエジソン』とか、『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』なんかを、むらむらとまた読みたくなるのだった。

(7/8了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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