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『世界』2012年4月号 特集=悲しもう…東日本大震災・原発災害1年

『世界』2012年4月号『世界』2012年4月号
特集=悲しもう…
東日本大震災・原発災害1年

(2012/03/08)


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新しい雑誌もときどき読むが、図書館で借りてきた古雑誌をうろうろ読むのもわるくない。あっという間にニュースのトップから消えていったことなんかが、紙の束の中にじっと残っているかんじ。

この号は、アワプラの白石草さんの寄稿があるらしいというので、借りてみた。特集は「悲しもう…東日本大震災・原発災害1年」。白石さんのは、「ルポ なぜ避難が認められないのか」という、福島市渡利地区のことを書いたものだった。

福島の県庁所在地である福島市、その中でも渡利地区の放射線量がかなり高いことは、渡利から土湯温泉(比較的線量が低い)へ子どもたちを一時的に避難させようという「わたり土湯ぽかぽかプロジェクト」(現在は「ふくしまぽかぽかプロジェクト」として続行)をつうじて、私も聞き知っていた。

原発から60キロ離れており、多くの住民は事故の影響を直接受けるとは思っていなかったという渡利地区の汚染は、チェルノブイリ原発事故後25年以上経った今も人の立ち入りが原則禁止という「特別規制ゾーン」と同等レベル。
相馬市や伊達市、川俣町など他の自治体では「特定避難勧奨地点」に指定されている汚染レベルのところも、渡利では指定されず、その基準も明らかにされなかった。
*地元紙・福島民友掲載の「特定避難勧奨地点」指定状況
*「特定避難勧奨地点」についての政府説明

白石さんは、昨年10月20日、文科省の原子力損害賠償審査会の席上で、自主避難をめぐる福島市の状況を報告した福島市の瀬戸市長の発言を引いている。

▼「恐ろしいことに、亀裂、分裂、断絶、反目、あるいは不審、そういったことが市民の間に起きています。自主避難一つとっても、自主避難できる人とできない人とのあいだでは、反目が底流に生じています」
 「私といたしましては、早く福島市をきれいにして、自主避難者に戻ってきてもらいたい。残っていらっしゃる方に一人ひとりお訊きすると、『市長さん、避難費用のお金でるんですか?』ということをハッキリ言います。皆さん、出たいんですよ、本当は」 (p.137)
*文科省で公表されている第15回議事録では、引用前後の瀬戸市長の発言も読める。

白石さんのルポをはじめとして、特集にあるいろんな人のいろんな文章を読む。
なかでも、中村晋さんの「福島から問う『教育と命』」、山内明美さんの「〈東北〉が、はじまりの場所になればいい」は、なんども読んだ。布施龍一さんの書く「復興からとり残される『在宅被災者』」も印象的だった。

1ヶ月ほど借りているあいだに、あらかたのページは読んだ。特集に目をうばわれて、借りてきた当初は気づかずにいたが、「『肉を食う』こと」という対談(内澤旬子×角田光代)があったり、「大阪府教育基本条例の悪夢」(中嶋哲彦)という文章があったり、ナチ時代の精神医学犯罪、さらには日本の精神医学犯罪を問うた「いま医の倫理を問う意味」(小俣和一郎)というのがあったり、「未完の戦時下抵抗」(田中伸尚)という連載があったり、なかなかに奥が深かった。

4月号の目次(執筆者からのメッセージも一部読める)
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2012/04/directory.html
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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