読んだり、書いたり、編んだり 

支え合う主体同士として(廣瀬明彦)

支え合う主体同士として 命と存在を支え合う

去年の6月にSプランニングの本を2冊買ったうちの1冊が廣瀬さんの『命と存在を支え合う』で、一緒に買った『障害のある人の地域生活をデザインする』と一緒にわりとすぐに読んだ。そのあと、また廣瀬さんの本が出ているのが気になりながら、ついつい買いそびれていたのを、先週Sプランニングから新刊案内のメールをいただいたのを機に、廣瀬さんの『支え合う主体同士として』と、あと2冊を注文した。

『支え合う主体同士として』『命と存在を支え合う』の続編で、どちらも、これまでの活動について、またこれからの方向性について、若手職員に伝えていきたいと廣瀬さんが書かれた「爺さんのひとりごと」がもとになっている。

昨日届いた『支え合う主体同士として』を読む。

廣瀬さんがつきあうことになった肺小細胞がんは、転移もし、それに対する化学療法や放射線治療をうけながら、その病勢のあいまを縫って「爺さんのひとりごと」は書かれている。「地域」「エンパワメント」「震災支援と社会福祉」「共感」「命の操作」…等の章に分けてまとめられたその文章のなかで、自らの内なる差別を書いたところが、私には心にのこった。
がんの脳への転移に対応するため受けた放射線の全脳照射。治療前には、これを受けた約5%の人に脳の委縮が始まると言われていた廣瀬さんは、それから2年半後にやや脳の委縮がみられると聞いて衝撃をうける。アルツハイマー型の認知症のような経過をたどると説明をうけ、廣瀬さんは、そういった症状がみられるようになったら、認知力がおとろえたら、全てのがん治療を中断しようと考える。「自分を自覚しつつ終焉を迎えたい」と考えて。

そのことを話した友人から、「今まで君がいってきた障害のある方の存在と価値という思想」とえらい違うんちゃうかと廣瀬さんは言われる。認知症や障害が重いと言われる人の存在を、否定してへんかと。

廣瀬さんは自分の揺れる気持ちを書く。「こうしたい」と「こうあるべき」の間で板挟みの感情におそわれる自分自身のことを書く。その間で迷い、逡巡する自分とむきあう。考え続ける。

「こうあるべき」とキッパリ書かれへん廣瀬さん、「こうしたい」という自分がそれでええのかと悩む廣瀬さん、揺れるし迷うし変わる自分にむきあおうとする廣瀬さん。そこが、ええなと思った。

本の最後のところでも「「病と闘う」というより、萎えそうになる自分とじっくり向き合っているという方が極めて近いと思っています」(p.134)と書かれていた。

もうひとつ、廣瀬さんが自分の「生業」として長年かかわってきた支援について、寄り添う時間のことを書いてはるところ、普通の生活、あたりまえの生活って何かと書いてはるところが印象的だった。

▼…「側に寄り添い」、結果として、その方が人として「恢復」し、自ら人として生きていこうとする力が湧きだしていく、これをエンパワメントと呼ぶとしたら、支援という生業の中でも最も大切にされるべきものでしょう。(p.52)

けれど、今の社会福祉制度は、「人の生活を時間的にも、質的にも切り刻み、数値化しにくいものや客観評価できないものは切り捨てて制度設計していくという流れが顕著」(p.53)で、支援者のなかにもそれらの制度をあたりまえのようにとらえて専門職を自称する人が増えているように思うと、廣瀬さんは続ける。

▼24時間の介護を必要とされる方はたくさんおられるのに、今の法制度では、日中活動、調理支援、身体介護、移動支援…等にぶつ切りにされて、その計画に基づいて日々を送らざるをえないというのが、「普通の暮らし」といえるでしょうか。(p.80)

ここのところは、『三人暮らし』の五十嵐さんが、先日ブログに書かれていた「「願い」をそのまま」のことを思いだしながら読んだ。あるいは、先日読んだ、西田良枝さんの『ひとりから始まるみんなのこと』でも書かれていた"普通の暮らし"のことを思いだしながら読んだ。

「はじめに」では、前著と同様、相楽福祉会の基本理念が引かれている。
▼人はその生育の歴史を背負うたありのままに互いにかけがえの無い、一回限りの生きた存在として、 心から大切にされなければならないことを、根底的な認識とする。
自ずから決する命のあり方を内にとどめることなく、すべての人々の共感できうる地域社会を、ともに築きゆくとともに、 解き放たれ、真に自立した人々の関係を求めゆくことを基本理念とする。
(1993年1月 社会福祉法人設立時制定・前段起草-三輪信行・後段起草-廣瀬明彦)

(6/10了)

Sプランニングの本は、直販のみ
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/4364-0ed20a90
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ