読んだり、書いたり、編んだり 

太陽のパスタ、豆のスープ(宮下奈都)

太陽のパスタ、豆のスープ太陽のパスタ、豆のスープ
(2010/01/26)
宮下奈都

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おもしろかったと聞いて借りてきた本。タイトルがおぼえられへんので、人に話すときには「太陽と豆がナントカっていうタイトル」と言っていたりする。こないだ妹に聞いたら、この人の別の作品を読んだことがあると言っていた。

出てくる人物の名前がおもしろい。主人公は「あすわ」(漢字では明日羽)、そのおばさんが「ロッカ」(漢字では六花)。そして、あすわの幼なじみ、美容師の「きょう」(漢字では京)。

もう式場も予約して仲人さんも頼み、友だちにも日取りを知らせちゃった、という段になって、婚約を解消したいとつげられたあすわ。2年つきあって、2ヶ月後には結婚することになっていた。

実家でどんよりとしているあすわを訪ねてきたロッカさんは、「やりたいことや、楽しそうなこと、ほしいもの、全部書き出してごらん」と言う。そして、リストしたことは「あすわが自分でそれをこれからひとつずつ叶えていくんだよ」と。

ドリフターズ・リスト(カトちゃんや志村は関係ない)、それは漂流する者たちの指針になるリスト。ロッカさんに、早く書く!と迫られて、あすわはまだ積んであったウェディングドレスのパンフレットの余白に書きつける。
1、食べたいものを好きなだけ食べる
2、髪を切る
3、ひっこし
4、おみこし
5、たまのこし
やりたいことをやる

実行してこそのリストだと言うロッカさんが、すぐ近くのアパートがひと部屋空いてると聞いてきて、あすわは翌週末には引っ越した。「ひっこし」に鉛筆でびーっと線を引くと思いのほか爽快だった。次は京に電話して、髪を切った。「リストに書いたとおり髪を切ってみたら、ほんとになんだかちょっと力が湧いてきたみたいなんだ。ありがと」とロッカさんに話すあすわ。

リストをちょっと書き直したり、実行したことを線で消したり、新たな項目を書き足したりしながら、あすわはいろんなことを考える。「やりたいことをやってやる」とリストに書く自分が、やりたいようにやってきたはずなのに、やりたいことをやったという自覚がない、と気づく。今までの自分は何だったんだ、と思う。これから何がやりたいのか、と思う。

ある日、ロッカさんに誘われて行った青空マーケットで、あすわは同僚の郁ちゃんが豆のスープを売ってるのに出会う。

豆!

最近あまりやらなくなってしまったが、豆をゆでたり豆を炒ったり、マメマメしく豆を食べていた頃を思い出しながら、話の後半を読んだ。郁ちゃんのつくる豆スープ、郁ちゃんが売ってる豆、その豆をゆでて食べるあすわ。

▼私にとっての豆は何だったのだろう。きっと「毎日」に関わることだと思う。でも、まだ、見きわめられないでいる。いろんな心当たりに水をやり、日に当てていれば、いつかは芽を出すだろうか。(p.249)

話のなかでくわしくは出てこないが、京はたぶんMtFで、そのことは最初のほうでこう書かれる。
▼…幼稚園のすみれ組以来、京には敵わない。京は泣かない。泣きたいことも人一倍多かったはずなのに、いつもぎゅっと唇を結んで、制服のズボンではなくスカートを穿きとおした。京介という名前を封印したのもその頃だ。(p.18)

小説のなかにさらっと京がいてるのが、ええなと思った。

(5/24了)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第40回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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