読んだり、書いたり、編んだり 

いま、先生は(朝日新聞教育チーム)

いま、先生はいま、先生は
(2011/10/29)
朝日新聞教育チーム

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年末から図書館で予約待ちして、2月終わりにまわってきたのだが、読みきれないまま一度返し、どなたかが借りていたのが戻るのを待って、もう一度借りてきた。

2010年の春、朝日の教育担当記者たちがチームを組んで取材を始め、朝刊社会面で「いま、先生は」と5回連載した企画に大幅に加筆したという本。

▼「大変だったら辞めればいいと人は言うけれど、疲労の極致だと、辞めると決めることもできないと、いまならわかる」(p.xviii)

養護教諭として都内の公立中学で働くマリコさんが、赴任時を振り返って語る。出勤途中で、すべりこんでくる電車にすうっと吸い込まれそうになったこともある。それでも自分は死ななくてすんだ。それはなぜか。「あなたが悪いんじゃない」と励ましてくれた先輩の存在が大きいという。
他の先生の協力を得られず、苦しくて苦しくて苦しくてと知人にメールしていた百合子さんは、新任から半年めの秋に命を絶った。「悪いのは子どもではない、おまえだ、おまえの授業が悪いから荒れる」「アルバイトじゃないんだぞ」「問題ばっかり起こしやがって」などと先輩から言われ、誰も助けてくれないと百合子さんは感じていた。百合子さんの知人の教員は、自分の職場でも新人に加え50代のベテランが辞めていったと語る。

▼「自己責任を問われ、即戦力が求められる世の中、水分のない職場は学校だけでないと思う。しかし、学校は人を育てるところ。いまの学校は、失敗しながら伸びていくゆとりがない。教師を育てられない学校が、子どもを育てられるだろうか」(p.73)


この連載を読んで「正規は甘えている」という気持ちがつのり、感想のメールを送ってきたという非正規教員のイサオさんの言葉に、学校に限らず、いま多くの職場で起こっていることが、よくあらわれていると思った。

「体を壊すと終わりだと思う、替わりの僕には替わりがいない」「給料が出るのは担当する授業時間の分だけ、準備の時間もテストの丸付けやノートのチェックの時間もただ働き」「そんな事情を知らないのか正規教員からテストの採点を頼まれる、断れない」「次の年度に雇われるかどうかわからず教育委員会からの電話をどきどきしながら待つ3月と、今年こそ採用試験に受かるぞ、でもダメかもと思う8月が、1年でいやな月」。

イサオさんが「正規は甘えている」という気持ちになるのも、わかる。そう変わらない拘束時間、外から見れば「同じ仕事」「同じ職場」の人、でも、かたや待遇は厚く、その一方で自分は休めない、断れない、先があるかないかわからない。

そういう"身分"違いが同僚になる職場で私も働いたことがあるから、なんで"身分"が違うと休みの数まで違うねんとか、こんなハラスメント人間がなんでぬくぬくと養われてるねんとか、どうしても目の前の"正規"に不満が向かうことは、ほんまによくわかる。

よくわかるけれど、「正規は甘えている」という方向に不満が向くのは、自分の溜飲を下げたいだけで、結局そうやって相手の足下を掘ったところは自分のとこまでつながっていて、ずぶずぶともろとも穴に落ちるだけやなと思う。

相手をたたきのめして、厚い条件をことごとく蹴散らしたくなるのは、自分らの条件がよくなる見込みがもてないからやと思う。でも、そうやって蹴散らしたものは、自分らには絶対まわってこない。

どこからどうやったら、一緒に働く者どうし、きもちよく、たすけあって、ええようになれるんかなとほんまに思う。広電の労組が取り組んだ均等待遇の話、ああいうのがもっと実現できないものかと思う。

(4/19了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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