読んだり、書いたり、編んだり 

福島県の歴史(丸井佳寿子、工藤雅樹、伊藤喜良、吉村仁作)

福島県の歴史福島県の歴史
(1997/05)
丸井佳寿子、工藤雅樹、伊藤喜良、吉村仁作

商品詳細を見る

『福島県の歴史散歩』のあと、レファレンスを頼んで、いろいろと本を探してもらったうちの一冊。「東北」のなかで、私が行ったことがあるのは福島県だけだが、風土も歴史もほとんど知らへんなーと思う。

北海道、岩手県につぎ全国3位の広さをもつ福島県。東西約166キロ、南北約133キロの県域(その7割は山地)の中央を奥羽山脈が南北に走り、その東側の地域を阿武隈山地がさらに二分、この二つの山地によって東から「浜通り」「中通り」「会津」の三つの地域に区分されている。

この三つの地域の気候風土がずいぶん違う。大阪も南の端から北の端まで、気候はそれなりに違いもあるが、天気予報で府域が区分されて示されるほどではない。
「浜通り地方は降雪も少なく、雪が降っても早くとけてしまう。夏の気温もあまり高くならない。」
「中通りの低地の夏は相当きびしい。標高の低い福島盆地の高温は全国的にも有名である。南へいくほど標高が高くなるので気温は低くなり、桜前線も中通りでは北から南へ進む。…冬は乾燥し、雪は少ない。吾妻おろし・那須おろしなど西からの強い風が湿度をはなはだしく低くしている。」
「奥羽山脈の西側には、四辺を山に囲まれた…会津地方が広がる。民謡にうたわれて有名な磐梯山、わが国第4位の面積をもつ猪苗代湖をかかえ風光明媚なところである。…大部分が山地の地域。冬、雪の多い日本海側気候方で、会津南西部では最深積雪が3~4メートルに達するところもある。」

▼歴史の転換期、つねに福島県域は「辺境みちのく」の入り口にあって、中央勢力と在地勢力のぶつかり合う場となった。有る力は中央と結び、ある力は中央に抵抗した。そして、いずれにしてもそこに住む多くの人びとの生活は間違いなく戦いによって激しく傷つけられたのであった。(p.5)

石器時代、「福島のあけぼの」から書きおこされた県史は、21世紀を目前とする1990年代半ばあたりで終わる(この本の刊行が1997年)。古代にもそれなりに興味はあるが、先に8章「日本の近代化と福島」、9章「激動期の福島」を読む。

地方自治制の確立運動と民権運動は表裏の存在だった、という話。
福島県における県会・区会-町村会という地方自治形成の動きは、明治8(1875)年「磐前県(いわさきけん)民治条例」にはじまり、明治10(1877)年、福島県権参事中条政恒(ちゅうじょうまさつね)のもとでの「福島県民会規則」の作成(「福島県町村会仮規則」「福島県区会規則」「福島県会規則」)、その年12月に開催された模擬県会で民会規則案の検討、これらを経て、明治11(1878)年1月、福島県は甲第1号「福島県民会規則」を公布、6月に、権令山吉盛典(やまよしもりのり)の出席のもと、議長安部磐根(あべいわね)、議員定数68人で福島県最初の県会が福島町西蓮寺で開催されるに至っている。

▼この県会は、明治11年に政府が公布し、翌12年に施行された「府県会規則」に先立ち、これと比較して公選のあり方・県会の権限などにおいてはるかに民主的な、福島県独自の県会であった。(p.258)

もちろん、はるかに民主的とはいっても、時代もあって、こうした地方自治も「それなりの財産をもつ25歳以上の男子」によるもので、女性が選挙権・被選挙権とももてるようになったのは戦後の地方自治法になってから。

こうした県会の沿革、その先進性については、福島県のHPにあった「福島県議会の概要」の冒頭や、福島県議会HPの「県議会の沿革」にも記されている。

中条政恒は、中條とも書き、百合子の祖父にあたる。百合子の「貧しき人々の群」は、安積開拓によって開墾された桑野村をモデルにしたものという。

戦後、1960年代以降の全国総合開発計画(全総)により、福島県においても"開発"が進められた。

▼…この結果、いわき、郡山をはじめ、阿武隈山地の町村に企業・工場がぞくぞくと誘致され、工業出荷額の伸び率は全国の新産業都市14地区のなかでもトップクラスの発展をみたのである。しかし、同時にこうした地域開発は深刻な公害をもたらしたことも銘記すべきであろう。いわき市小名浜・勿来地区の亜硫酸ガス・塩素ガス・粉塵、会津地区のフッソガス、磐梯地区のカドミウム汚染などはその代表的事例である。また、双葉地域に建設された原子力発電所は当初「原子力エネルギーの応用産業を中心として宮城・山形・福島にわたる一大原子力産業基地建設」を構想したが、地元への漁業補償や固定資産税の恩恵と引きかえに、安全性の不安をかかえながら大都市に電力を供給する「電力供給地」としての地位にとどまっている。(p.294)

地域"開発"がもたらした公害のなかでも、原子力発電所由来の放射性物質による深刻な汚染は現在進行形だけれど、ガスや粉塵、カドミウムによる汚染はどうなのだろう。
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/4285-ab92e0ad
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ