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ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯(クレア・キップス)

ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯ある小さなスズメの記録
人を慰め、愛し、叱った、
誇り高きクラレンスの生涯

(2010/11/10)
クレア・キップス

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社納さんから貸してもらった、美しい箱入りの本。装画は酒井駒子さんという人。どっかで見たことがあるような…と思ったら、RDGレッドデータガールのシリーズ装画の人でもあった。

タイトルどおり「ある小さなスズメの記録」が綴られた本。このスズメは、著者のキップスさんに拾われ、クラレンスと名付けられて、以後の生涯をキップスさんとともに過ごした。

第二次大戦中のロンドンで、市民防衛隊の一員として任務を終えて帰ってきたキップスさんは、玄関先で小鳥を見つける。夜のうちに死んでしまうだろうと思いながら、のどにミルクを一滴たらし、温かな戸棚にスズメをしまって、キップスさんは床についた。翌朝、スズメは朝食をねだって鳴いていた。

キップスさんは、スズメが自分の力で飛んで食糧を確保できるようになれば、すぐ外へ放すつもりだった。しかし、スズメは足と翼に欠陥を抱えていて、飛ぶというより、ぴょんぴょんと跳び、身を守るのに必要な高さまで飛べそうもなかった。
遊びたがる子スズメとの生活のなかで、このスズメに芸を教えて皆に披露することをキップスさんは思いつく。エンターテイナーとなったスズメの存在は、歓迎され、喜ばれた。家を失くした人たちも、全ての持ち物を失った人も、しばらくは不幸を忘れることができた。おびえた子どもたちは楽しげになった。「俳優」として活躍したスズメは、歌うようにもなって、戦争中の人々の慰めとなった。

そして、キップスさんと共に過ごしたあいだに、スズメは一度病にかかり、老いを迎える。11歳をすぎてからは足が弱りはじめ、それは老化だと獣医に告げられる。12年と7週と4日の間を生きて、スズメは老衰によって死んだ。この「老いを迎えて」から「最後の日々」を綴ったふたつの章は、老いて死にゆくものを看取った記録として、スズメも人間もそう変わらないんやなあと思えた。

クラレンス
その名もほまれ高き いとしいスズメよ

墓碑銘にはこう捧げられているという。

(2/28了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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