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絵が「ふるえるほど好き」になる―MAYA MAXXのロシアの名画と旅ガイド(MAYA MAXX)

絵が「ふるえるほど好き」になる―MAYA MAXXのロシアの名画と旅ガイド絵が「ふるえるほど好き」になる
―MAYA MAXXのロシアの名画と旅ガイド

(2005/10)
MAYA MAXX

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こないだぶんぶん文庫のコマザキさんちへ行った。コマザキさんが『はなげばあちゃん』を出してきて、ちょっと読んで「読みにくいワー、読んで!」というので、代わって読んだ。大阪での原画展に3度通って、東京へ仕事で行ったときにもちょうど向こうで原画展をやってたのを見て、作者の山田さんにインタビューさせてもろた。読んでいるとまたムラムラとわくわくがこみあげる。また原画をみたいなあ。

本を3冊借りて帰った。そのうちの一冊がこのMAYA MAXXの『絵が「ふるえるほど好き」になる』。表紙には、マチスの「金魚」。MAYA MAXXがロシアのプーシキン美術館へ行ってきたときの、絵と旅のガイド。私はこの金魚の絵を、何年前だったか上野でみた(たしか都立美術館)。プーシキン美術館展がきてたのだ。この金魚の絵は、ポスターにばんばん使われていて、駅やそこらでポスターをさんざん見たあとに、美術館でみた原画は、ポスターの絵の大きさに比べると、こぢんまりと小さかった。鮮やかな金魚、さっさと描いたような筆づかいが印象に残っている。

「金魚」の絵についてMAYA MAXXが語っているなかで、とくにここがよかった。
▼…本当は細密にも描けるけれど、リアリティというのはそうじゃなくて、金魚や金魚鉢のある風景が、自分と同じように同じ比重で世界には存在しているということの納得ですよね。人間というものは、理性とか、いろんなものがある動物だから、自分が見ているからこそ風景があって世界があるという意識になりがちなんだけど、見ていてもみていなくても金魚は存在し自分も存在する、その同列な感じをね。そして、そう思ったときに、ワクワクすること、それがリアリティなんじゃないでしょうかね。…

 …だんだん歳をとっていくごとにマティスという人は、やっぱりこの世界というものは、祝福されるべきものなんじゃないかと思ったと思うんだよね。この世は、本来、自分がなにもしなくても美しいし、自分がいようがいまいが美しいんだと。ただ、いまこの画面に美しさを定着できるのは自分なんだっていうことですよね。(p.27)
本の後半には、プーシキン美術館の館長インタビューも載っていて、この人もコレクションのなかで好きな作品は「金魚」だと話している。
▼それはたんにキレイというだけでなく、暮らしが美しく、命が美しいと感じさせてくれるからです。(p.37)

こうして、私もいちどはみた絵のことを、違うときに違う人が語るのを読んでいると、またみてみたいなーと思う。「そのときわからなくても、何回か見ているうちにわかったりして、いままで全然見えていなかったものが、見えたりして。自分が変化することによって、絵の見方も変化していく。絵はまってくれているんですよ。」(p.2)というMAYA MAXXの言葉に、We176号でインタビューした田中恒子さんの言葉を思い出す。

▼最初このアートはこんなもんやなあと思ってたのが、対話してるとどんどん違うように見えてくる。アートは変わらへんけど、自分が変わるから、アートが変幻自在に変わってるように私からは見える。私が変わってることを、アートは映し出してくれてる。(We176号、p.47)

絵とか映画とか写真とか、いろんなものを見て感じること。それは「ああこれはいっぺん見たワ」というのとはまた違うなと思う。本を読むことも、時をおいて、自分が歳をとって、そしてたぶん何か自分が変わって、また読み直したときに、同じ本がぜんぜん違って感じられることがあるように、何回か見てるうちにふと気づくことや、あらためて見て、まるで違うもののように感じることがある。

この本の表紙をみて、ああプーシキン美術館展へ行ったなあと思ったけど、MAYA MAXXがロシアへ行って、プーシキン美術館でこれらの絵をみて、ロシアという土地の光の違い、色の違い、影の違いについて語っているのを読んでいて、どんな光のなかにこれらの絵があるのか、それは上野とはまた違うやろうし、感じてみたいなーとも思った。

本の最後に、MAYA MAXXが書きつけていること。小躍りするほど、エエな!と思った。
 …
 絵を描くにしても、人生を生きるにしても、
 心から、身体から、魂から、
 実感し、納得し、得心したことだけが
 人を動かし
 人の心を動かすと思います。
 そういう絵が描けたらと格闘しています。
 …
 私はすばらしい絵を見ると
 そのまえで小躍りしたくなります。
 この根源的な感動を言葉では表せない
 身体を動かすことでしか表せない
 と思うからです。
 絵のまえで、子どもが、若者が、大人が、お年寄りが、
 小躍りしていたら楽しいですね。
 その絵はもちろんすばらしいけど
 そういう世の中はもっとすばらしい。
 …
   (pp.60-61)

(2/7了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第42回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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