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しゃぼん(吉川トリコ)

しゃぼんしゃぼん
(2009/11/20)
吉川トリコ

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吉川トリコのR-18受賞作が収録されている本が図書館にあったので、借りてきてみた。巻頭の表題作「しゃぼん」と、連作というべきか、登場人物が重なる短編がふたつ、それと巻末の「ねむりひめ」の4篇。

「しゃぼん」と「いろとりどり」がよかった。女らしくとか、女の子らしくとか、子どもらしくとか、そんなんからはみだした自覚のある女と、はみださないように目立たないようにふるまう子どもが出てくる。その二人が交差する場面がよかった。

「しゃぼん」に出てくる花(もうすぐ30歳)は、こんなことをつぶやく。
▼…女をやるのは、エネルギーが大量にいる。私のようなずぼらにはとうてい無理だ。女をやるのは疲れる。
 女でないのならいったいなんなのだと訊かれたら、そんなのこっちが訊きたいよ、と思ってしまう。ニュアンスでわかってくれ、と思う。とにかく女ではないなにか。私はそれだ。これまでずっとそうやってきた。そして、ここ一年ほど、一瞬たりとも女をやってない。(pp.21-22)
「いろとりどり」に出てくるまりあ(12歳)は、こんなことを思う。
▼いったい、ほんとうの自分ってなんなんでしょう。
 あたえられたお洋服を着て(そりゃあ女の子ですから、多少の好みはありますけど、ああでもその「女の子ですから」ってのがくせもので、それだってあたえられた役割をこなしているのにすぎない気もします)、あたえられたものを食べて、あたえられた屋根の下、あたえられたベッドで眠り、あたえられた時間に学校へ行き、あたえられた課題をこなし…。
 だれかに(いったいだれに?)あたえられるものだけで、私たちの生活は埋め尽くされています。どうしたい、こうしたい、などと考える前に、ハイ次! 次! 次はこれ! どこからともなくスケジュールが押し寄せてきます。(pp.141-142)

連作3篇は、生理や初潮の場面があって、ちょっと血のにおいがする。

(11/3了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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