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桐畑家の縁談(中島京子)

桐畑家の縁談桐畑家の縁談
(2010/04/20)
中島京子

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『桐畑家の縁談』は、単行本のころに一度読んでいる。が、どんなだったかほとんど忘れている。文庫になったのを借りて、久しぶりに読んでみた。

妹・佳子が「結婚することにした」相手は、台湾の青年、ウー・ミンゾン。前に読んだときの私は、姉の露子の言動やら思案、露子の目からみたあれこれの観察に興味をもって読んだようなのだが、このたび読んで、ウー・ミンゾンと、妹の佳子と、このふたりの言動がずいぶんおもしろかった。

ウー・ミンゾンと水族館へ行って、ぐるぐるとイキのいいのが泳いでるのを見たら、まぐろが食べたくなり、刺身を買って帰ってウー・ミンゾンの部屋で食べたという話を、佳子は姉にこんな風に話すのだ。
▼「ウー・ミンゾンは、刺身が好きなの。実は刺身というよりワサビが好きなのね。台湾の人ってそうなのよ。すごいのよ。こんもり小皿に盛ったワサビで刺身を和えるみたいにして食べちゃうの。目からぼろぼろ涙流して、額をピシャピシャ叩いちゃって、こんな感じ」
 佳子は立ち上がると、ぐしゃぐしゃに顔をゆがめ、頭を叩きながら「ハオツー(おいしい)」と叫び、のたうちまわって刺身を賛美するウー・ミンゾンの姿をそっくりまねてみせる。(p.80)

そして、年ばかりとるわりに何も変わらないような日常を好んで過ごしていながら、だんだんと何かから取り残されるような気分におそわれる露子に、親戚の十条のおじさんが言う、こんな言葉もふと心にのこる。

▼「まあな、おまえだけ特別というんでもないよ、だいたい身長の伸びが止まるのとおんなしで、誰だって十八かそこいらを過ぎりゃあそうそう子供時代のように何かが前へばっかり進まないのさ」(p.184)

話を読み終わって、巻末の「解説」を読んで、そうやなあ、これって"姉妹小説"で、二つの女性小説がたくしこまれてるなアと思った。顔の下半分をかくしたら今も「そっくり」な露子と佳子は、いつの間にかえらく間隔のあいた二本のレールのような、それぞれの道をたどっている。

「同じ親」から産まれてとか、「同じ家庭環境」で育ってとか、氏説も育ち説も、きょうだいについてはどこかで"似たようなもんや"という見方がある気がする。確かに、似てるかもなと思うところもある。でもそれ以上に、違うよなーと思うところがいっぱいある。妹2人と自分とをいろいろ考えてみても、そう思う。

中島京子の姉が、中島さおり(『パリの女は産んでいる』の人)だということも、この文庫解説で、初めて知った。

(9/18了)
 
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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