読んだり、書いたり、編んだり 

ほのさんのいのちを知って(西村理佐)

ほのさんのいのちを知ってほのさんのいのちを知って
(2010/01/29)
西村理佐

商品詳細を見る

国本さんとこが出してるしぇあメール92号に紹介されていたおすすめ本。図書館にあったので、早速借りてきて読んでみる。

へその緒が切れて仮死状態でうまれ、"眠りっこ"となった「ほのさん」。人工呼吸器をつけ、うまれたときからNICU入院6ヶ月、一般小児科3ヶ月の入院を経て、ほのさんの在宅生活はスタートした。

この本は、かあさん・西村理佐さんがブログ「ほのさんのバラ色在宅生活」を書き始めてから3ヶ月(2009年3月~6月)の内容をまとめたもの。表紙には3体のマトリョーシカ(理佐さんは、マトさんに目がない)。よくみると、一番ちいさな右のマトさんは、表紙カバーの顔のところがくりぬいてあって、そこに顔を出してるのはほのさん。

"超重症児"のほのさんが在宅生活を始めるまでにも、始めてからも、「超重症」「子ども」「例が少ない」ために制度やサービスの枠からはみだしてしまい、地域で暮らしやすい環境をととのえることの難しさに何度もぶちあたってきたかあさんととうさん。

ほのさんのいのち、ほのさんの生きる力とともに、かあさん、とうさんの思いをひしと感じる本だった。気管切開して人工呼吸器管理にすることで在宅生活がおくれるとか、よく知らなかったこともいろいろあった。
▼かあさんが、このブログを通じてほのさんとの生活を綴るのは、在宅生活至上主義からではなく、ある家族のひとつの生活スタイルをとおして、「超重症児」と呼ばれる子どもたちの抱えている問題を、ありのままに伝えたい。そして、たくさんの方に知っていただくことで、それぞれの子どもたち、家族たちが、それぞれが望む方法で、穏やかで楽しい生活が送れるようになりますように、という願いからです。(pp.141-142)

人工呼吸器がくっついて生きているほのさんの、日々の様子を読みながら、母がもうすこし生きのびていて、呼吸器をつけることになっていたら、こんなケアが必要だったのかなと思った。ほのさんが痰詰まりで呼吸不全を起こし、文字どおり「死にかけた」話を読むと、寝ている間に痰を詰まらせて死んだ母は、あのときもう吸引が必要な段階だったのだろうかとも思う。

そして、機械で呼吸をしているほのさんのことを読んでいると、人工心肺をつけられそれを止めることで死を迎えた祖母のことをどうしても思い出してしまう。祖母は、もう心臓が破れてしまって救命不可能という状態で人工心肺を一時的につけられた。心臓死が人の死だというなら、もう死んでしまっている身体をわずかの時間、生きているかのように動かしていたのが人工心肺だったのだなあと今は思う。それは、ほのさんが気管切開してつけている人工呼吸器とは違う性質のものだということも、今はわかる。でも、ある時期まで私はやっぱり「機械で呼吸をする」という点で、ごっちゃにしていた。ほのさんのことを読みながら、そのことがはっきりわかった。

本にまとめられているのは、ちょうど1997年にできた「臓器移植法」の改正が国会審議され、いわゆるA案(年齢を問わず、脳死を一律に人の死とし、臓器提供については書面による本人の意思表示の義務づけをやめ、本人の拒否がない限り家族の同意で提供できる)が審議・可決された時期にあたっている。

本の後半は、ほのさんのような「長期脳死」といわれる子どもをもった母として思うことを、かあさんが綴っている。

▼…我が家がいま、どこの家庭にも負けないくらい、幸せな生活を送ることができているのは、ほのさんが、フツウの子と同じように、元気にスクスクと育っており、声にならない声で、かあさん、かあさんと呼びかけてくれているからであり、これは、強がっているのでもなく、無理しているのでもない。それが、一般に「長期脳死」と呼ばれる子たちの、いのちの、真実です。

 だから、知らない人から見れば、痛々しいかもしれない、
 残酷に生かされているようにしか見えないかもしれない。
 でも、知っている人から見れば、
 ひょっとしたら、誰よりも強い生命力で、
 ただ生きることに精一杯なこのいのちの真実。
 これを伝えたかった。 (pp.197-198)

読み終わって、3つのマトさんが並ぶ表紙にある「ほのさんのいのちを知って」というタイトルが、胸にすっと落ちた。臓器移植法の改正案が通ったあとに読んだ『いのちといのちの間で』を、また読んでみようと思った。この報告書も(医療的ケアを要する子どもの在宅療養支援体制の整備に関する基礎調査)。

(9/15了)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/4096-1e6375a6
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ