読んだり、書いたり、編んだり 

WANTED!!かい人21面相(赤染晶子)

WANTED!!かい人21面相WANTED!!かい人21面相
(2011/08)
赤染晶子

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この人の本は、まえに『うつつ・うつら』を読んだ。なんだかおかしな話だったなあという印象が残っている。去年は「乙女の密告」という作で、芥川賞をとりはった(受賞作は、『文藝春秋』に載ったのを図書館で読んだ)。

久しぶりに図書館の「新着一覧」をぱらぱらとみていたら、この人の新しい本があったので借りてみた。タイトルは、児童読みもの系か?と思えるが、いちおう大人用のラベルで913(小説)がついている。

表題作は、もちろんグリコ・森永事件の「かい人21面相」あるいは「キツネ目の男」を下敷きにしている。といっても、高村薫の『レディ・ジョーカー』みたいな小説ではない。赤染晶子の書く話は、事件から数年たって高校2年生になっている「わたし」と同級生の「楓」を中心にすすむ。
キャラメルのことをいまだに「森永」と言う楓、ちょっと変わった子だった楓。その楓に「わたし」はいつも金魚の糞のようについてまわっていたのだが、いつのころからか、ついていけなくなってきた。

高校で2人はバトン部にいる。楓は、1年からレギュラーで、センターのポジション争いをするくらいだった。そして楓は、バトン部の顧問である鬼頭に向かって「ふん! かい人21面相のくせに!」と言い放つ。なぜか楓は鬼頭が「かい人21面相」であると信じていて、警察に通報までするのだ。

「わたし」は万年補欠で、補欠はグラウンドで「マズルカステップ」の練習しなければならない。20人以上の補欠部員が、ずらりと並んで延々とマズルカステップをする。その光景は「春になると、全ての部活の新入部員がお腹を抱えてげらげら笑う」ようなものだった。たぶん表紙のイラストにあるセーラー服のふたりはマズルカステップを踏んでいるのだろう。赤染の筆によれば、それは「土俵入りの力士のような動作」だという。

何が何だかわからないが、おかしな勢いがある。読んでいて笑ってしまったりする。

他の2篇、絨毯工場で働くもみじ女工やうぐいす女工の話を書いた「恋もみじ」と、ニセ綾小路夫人となって暮らしてきたいも子を書いた「少女煙草」は、ますますわけのわからなさが募る。短く、たたみかけるような地の文の勢いのせいか、カッコで括られた会話文が関西弁で書かれているせいか、いったい何の話なのか、それもよくわからないのに、おかしい。

(9/14了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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