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大地動乱の時代―地震学者は警告する(石橋克彦)

大地動乱の時代―地震学者は警告する大地動乱の時代―地震学者は警告する
(1994/08/22)
石橋克彦

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阪神大震災の前年に、大地動乱の時代の再来を警告した本(その元になった原稿は1989年に書かれたものだという)。この本にも「そのとき何がおこるか」として、おこりうる地震災害について書いてあるが、著者の石橋さんは阪神大震災後の1997年、雑誌『科学』に「原発震災―破滅を避けるために」を書いている。この『科学』記事を先に読んでいたが、1994年の警告の本も借りてきて読む。

この本は、地震学をもとに、江戸幕末に始まった大地動乱の時代は1923年の関東大震災で終わり、その後の大地静穏の時代に東京圏は世界有数の超過密都市になりおおせたが、まもなく再び「大地動乱の時代」がやってくることは確実だ、その被害を軽減するためにも、この東京圏への一極集中を転じ、地方分権による分散型の国土づくりに取り組むべきだ、と論じる。
幕末からの大地の動乱、そのすさまじい破壊力のありさまを読むと、現在の日本社会がこのような大地の破局をふたたび迎えた場合、どんなことになるのか、なったのかと、3月11日の後を思う。16年前の1月17日の記憶はうすれてきているけれど、こんな直下型地震が首都圏でおこったらと、あのころは聞いたように思う。

地震学の人だけあって、言葉遣いの違いに気をつけてほしいと書いている。
▼…専門用語としての「地震」は、揺れの原因となる地下の出来事だけをさす。それによる地面の震動は「地震動」である。…「地震」の大きさは「マグニチュード(M)」で測り、各地の「地震動」の強さは「震度」で表わす。
 なお、「震災」という言葉があるが、これは文字どおり「地震災害」だから、強い地震動の影響範囲にたまたま人間の文明がある場合にだけ発生する社会現象である。(p.84)

▼地震というのは、ひと口でいえば、地下深部の岩石が急激に破壊して「地震波」を発生する出来事である。…地震という岩石破壊は面状におこる、ということが重要である。大地震では破壊面の長さが100キロ以上に達することもある。(p.85)

世界の地震分布をプロットした図をみると、やはり日本列島のところはスゴイ。地震がプロットされた点で、列島の輪郭が見えないほどである。日本列島が「4つのプレートが関係する収束境界帯の真只中に位置している」ためだが、こんなに地震の頻発する列島に原発が50基以上も並んでいることの恐ろしさをあらためて感じる。

大地震は、大地の軋轢が一気に解消されたもの。震災も同じだと石橋さんは書く。
▼震災というのは、人間の文明社会と大自然のあいだに日常的に存在する矛盾の劇的な噴出にほかならない。生身の人間の手足や目のとどく範囲で都市生活が営まれていた安政期の江戸や、その面影を残していた大正時代の東京では、大震災と行っても中味は単純だった。ところが現在の東京は、大自然の摂理と現代文明の相克が地球上でもっとも激しい場所の一つである。そこに潜む本質的な無理が大地震の際に極限まで顕在化して、ここで生ずる震災は人類がまだ見たことのないような様相を呈する可能性が強い。(pp.199-200)

いま、14年前に石橋さんが警告した「原発震災」がまさに起きているのだ。
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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