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働く人のための「読む」カウンセリング(高山直子)

働く人のための「読む」カウンセリング ピープル・スキルを磨く働く人のための「読む」カウンセリング
ピープル・スキルを磨く

(2010/02/24)
高山直子

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高山さんの本は、出た頃から気になっていたが、やっと借りてきて読む。フェミックスで出している本『女性とパワーハラスメント』のなかで、高山さんのことは印象深くおぼえていた。この『女性とパワハラ』は、金子雅臣さん、中野麻美さんという"ハラスメントあかんやろギョーカイ"の中ではかなりの有名人のおふたりと高山さんと、3人のお話をまとめ、それに加えて編集にあたったウィメンズ・サポート・オフィス連のメンバーの方々が「私のパワハラ体験」としてコラムを書いたものが数本おさめられている。

金子さん、中野さんのお話ももちろんいいのだけれど、他の類書との違い、この本のよさは「高山さんの話が入ってることだ」と私は校正を手伝って本文を読んだ頃から思っていた。高山さんの章は「身近な人がパワハラにあったら?―どんな援助ができるかを考える」

▼「加害という真実」は被害者の中にあります。それが一番の証拠だと思って話を聴いてください。…(中略)「思い出せない、わからない」と言われると、本当だったの?と思う人がいますが、心に封じ込めて思い出せないくらい嫌だった、それぐらい「傷ついている」ということです。思い出すとパニックを起こすかもという不安からうまく説明できないのは、一貫性がないこととは違います。日時がちょっと変わることがあったとしても、加害の事実、どのように感じたか、そのとき何を考えたか、そこにはズレがなく、だからこそ真実なのです。(『女性とパワハラ』、p.65)
高山さん自身、ストーキング事件の被害経験があり、その被害者としての経験から「支援されることから受けるプレッシャー」のことを、ふりかえって率直に書いている。なにをしていても「どうなった?」と事件のことを訊かれて、説明しなければならなくなる。だんだん、誰のために事件と向き合っているのかわからなくなり、途中で嫌になって「もう日本に帰ってしまおう」と思ったこともある。でもそのときに「嫌だ」と言えなかった、と。支援というプレッシャーのことを、私もこの高山さんの話を読んで、はじめてグーッとつきつけられた気がした。

▼支援を受けているときの気持ちは複雑で、支援はしてもらいたい、けれどそれが苦しい、それは被害者になって、支援を受けてはじめて感じたことです。支援者はよいことをしていると思うかもしれませんが、その人に負担がかかっているかもしれないという意識も必要かもしれません。(『女性とパワハラ』、pp.68-69)

「真のエンパワメントとは、本人があのときの選択はあれでよかったと後々思えること」(p.80)というところなど、高山直子さんの名を、私はこの『女性とパワハラ』でしっかりおぼえた。そして、あとで、なにかのときに、高山さんが自分と同い年だということを知って、機会があれば話をきいてみたいなーとも思ったのだった。

その高山さんの『働く人のための「読む」カウンセリング』、なるほどなーと思うことや、ふりかえって(あー、あのときの私はイヤな言い方をしてしまったなー)と思うことが、いくつもあった。肯定的な話し方、意思疎通の妨害になる言葉、アイ・メッセージ…自分の言動の癖はなかなか自分では気づきにくく、あまりよくないことでも、直しにくい。ときどき、この本を読みかえそうと思った。

「カウンセリングのプロセスでは、あなたがどう考え、どう思い、どう感じているかが一番重要」「あなたがあなた自身をジャッジすることに意味がある」(p.157)…カウンセリングは、五里霧中の自分の行き先を決めてもらうことではなくて、話をきいてもらうことで、情報を共有し、質問される中で自問自答し、自分で自分の行き先を決めることなんやなーと、あらためて分かった気持ち。

*高山さんがカウンセラーをつとめる「サポートハウスじょむ」

(7/20了)
 
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Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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