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読んだり、書いたり、編んだり 

雑踏(II)

 ぞろぞろと傭が並んでいるのは何となく知っていたし兵馬俑というだけあって、「兵」や「馬」があるのはわかっていた。それ以外にもいろいろうじゃうじゃとあって、男官、女官、宦官もあり、犬も家畜と野生のがあり(尾のかたちで識別するとかで、尾をくるりと巻いているのが家畜、尾をだらりと垂れているのが野生と書いてあった)、豚の親子、山羊、羊など。豚もぞろぞろうじゃうじゃと出てくるらしい。知らなんだなー
 出口の中国物産展みたいなところで絵はがきを3枚買って出る。

 外はすっかり暗く、こんな暗い時間にこのあたりを歩くのは初めてに近く、いつも昼間に通るのとは風景がちがってみえる。河原町方面へ出て、ちょうどカウンターも空いていたので久しぶりに「おめん」へ入る。
 牡蠣のみぞれ和えとおでんでビールを少し飲み、それからおめんをいただく。おでんは、大根、金時人参、じゃがいも、こんにゃく、ごぼ天、生麩が入っていた。おいしかった。

 電車でぐうぐう寝ながら帰る。駅についたら、雨がぱらぱらと降り出していた。

 オヤツ食べて、お茶いれて、『女の気まま運転』を読んでしまい、それから『夜をゆく飛行機』を読んでしまう。

 終盤で、里々子が、祖母の死を知る。そのときの「二つの時間」という話が強く印象に残る。男とのデートにうつつをぬかしていて、ずっと携帯がぶるぶると震えていたのを、他の男からだと思い込んで、カバンの奥深くに携帯をつっこんだ。そして、やっと日付が変わる前に、姉からの電話で祖母が死んだことを里々子は知るのである。

▽祖母のことを聞かされてから、私はずっと、二つの時間のことを同時に思い浮かべるようになった。つまり、こういうことだ。祖母の意識がなくなったとき、私は予備校の教室で、日本史の授業も聞かず怜二のことをぼんやりと考えていた。…みんなが泣きながら祖母にお化粧をし動かなくなった唇を水で濡らしているとき、嬉々として怜二との待ち合わせ場所に向かい、そうして祖母がゆっくりとこの世界から遠ざかっていくとき、私はにやける口元を必死におさえ、怜二の隣でがばがばと酒を飲んでいた。…
 たぶん、この先三十歳になっても、五十歳になっても、おばあちゃん、という人のことを思うとき、私は二つの時間を思い浮かべるのだろうと思う。私のいなかった場所と私のいた場所の。(272-273ページ)
 
 
 
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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