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健康維持に膨大な時間を費やして(II)

 健康維持は、父ちゃんにとって生きていく大部分の時間を費やすものとなっている。「最近はだいぶ暑くなってきたけど、あいかわらず一万歩、二万歩くらい歩いてんの?」と尋ねたところ、はたして、この暑いなか、やはりいまも一日一万五千歩くらい歩いているらしい。
 父ちゃんがそしてぽろっと言ったことが、おかしいような、せつないような。「歩くことや健康維持に膨大な時間を費やしていて、ゆっくり本を読んだり、手紙を書いたりする時間がとれない」と言うのである。私は内心(それは本末転倒ではないのか)と思ったけれど、言わないでおいた。父ちゃんは「毎日これくらい歩いていないと、やめるのは不安だ」とも言ったから。

 母ちゃんのお弔いについては、7年たって、だいぶ気もちも落ちついてきて、一段落したような気がしていた。そして、父ちゃんは自分の「健康維持」にやや強迫的になりながら、暮らしている。この「やめると不安」な心持ちというのは、「安心して老いる」にはちょっと遠いということだろうか。

 帰り、父ちゃんも散歩がてら出るというので、暑いなか帽子をかぶって、駅まで一緒にぶらぶら歩いた。年寄りは喉の乾きに気づきにくいと聞くから、散歩の途中で水分とりやとりやと数年前からくどくど言ってみるものの、父ちゃんは帽子をかぶるだけで、すたすたと歩く。汗かきのくせに、脱水症状おこさんといてやーと思い、水筒を持ってもらおうかと思案する。

 リハビリ打ち切り反対の署名を、父ちゃんにもしてもらう。ヨソの国を見ていると、すぐデモや暴動が起こっているけど、日本はそんなのが全然なくなってしまったなあ、昔は学生がいちばんにこういう運動をしたものだけど、豊かになったからかなあ、組合も力がなくなった…てなことを父ちゃんはひとしきり語っていた。そして、毎年わずかずつではあるが、この団体とこの団体とこの団体に寄付をしたり、会費を払ったりしていると語り、どこそこの団体はこれこれの対応が気に入らないので止めた…などと信条を語るのだった。

 父ちゃんと駅でわかれて、私は帰りに久しぶりにTKちゃんちへ寄り、一緒にオヤツを食べて、夕方までごろごろする。またネコの世話をして、買い物して帰宅。

 晩ご飯は同居人が2日前から仕込んだカレー。それにモヤシとレタスとセロリとトマトのサラダをつくる。
 寝る前に、坪内祐三の『古本的』をまた途中まで読む。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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