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あたしの声がすき(渡川浩美・作、狩野富貴子・絵)

あたしの声がすきあたしの声がすき
(1997/06)
渡川浩美・作
狩野富貴子・絵

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さいきん続けて『We』を買ってくださっている方から、先日いただいたメールで、この絵本のことを教えてもらい、図書館にあったのを借りてきてみた。主人公のたまきは、自分の「へんな声」がイヤで、お母さんと練習して練習して練習して、声をなおした。コクゴの本読みの時間にも、先生に「読むのがじょうずで、聞きやすい声」だとホメられるくらいの声、それが今のたまきの声。
たまきは左の耳が聞こえない。右の耳はちゃんと聞こえる。だから、人と話すときには、いつも相手の左側にいき、教室では前の席にすわる。自分で気をつけていれば、困らないはずだったのに、小学校にあがってから、話すたびに笑われるようになった。

ある日、お母さんがたまきの声をテープにとって聞かせてくれた。声が大きくて、キンキンかん高くて…自分の声がへんだと思うたまき。聞いていて耳がいたくなる、こんなのあたしの声じゃない!と思う。

それから、お母さんと、自分の声をテープにふきこんでチェックし、腹式呼吸を練習してお腹から声を出す練習もした。気づかないうちにへんな声に戻っていないか不安で、いつもたまきは自分の声をテープにふきこんで練習する。コクゴの読みも、家でそうやって練習する。

クラスに転校生がきた。
飯島さんの自己紹介の声は、キーンと耳が痛くなるような声、かん高い大きな声、まるで昔の私の声、とたまきは思う。飯島さんは、左の耳がまったく聞こえないと言った。ああやっぱりと思う。

みんなは、飯島さんが第一声を発したときから、笑いつづけてる。声をまねしてふざける子や、からかうために飯島さんを質問ぜめにしてしゃべらせる子もいる。

そんな飯島さんとクラスの子を見ながら、たまきは(声をなおせばいいのに。なおしたら、笑われたりからかわれたりしないのに)と心に思う。でも、そのことを飯島さんに言えない。へんな声だと知ったとき、自分もショックだった。飯島さんも、自分の声のことを知ったらどんなにショックだろう。だけど、このまま黙っているのが親切なのか…

遠足の前の日、忘れ物を取りに戻った教室で、たまきは飯島さんに「あなたの声、へんよ」と言ってしまう。自分も前は変な声だった、でもなおしたの、なおせるの、と。

飯島さんは「へんな声でもいいじゃない」「べつに、どんな声でもいいじゃない」とたまきに言うと、教室を出ていく。

「どうしてなおそうと思わないの!その声じゃ、あなた、いっしょうわらわれるわよ!」たまきが言うと、飯島さんはこう言ったのだ。
「べつに、わらいたい人は、わらっていればいいんじゃないの」「よの中、いろんな人がいるんだから、いろんな声があったっていいじゃない」。

遠足の日、飯島さんは、みんなに集合の合図を連絡をする遠足係として、いつものように大きな声だった。たまきは、飯島さんに昨日のことをあやまり、自分の声のことを飯島さんと話す。

「やっぱり、あたしの声だから。あたしの体の一部だもの」という飯島さんに対して、たまきは自分の声はからかわれるのがイヤでつくった「つくり声」だとうつむく。でも、元の自分の声に戻る気にはならない。

私の声はこれだからと大きな、変な声で話す飯島さんと、へんな声をなおす練習をずっとしてきたたまき。「どちらの考え方も排除しないラストが印象的でした」と聞いていたが、こうくるのかあと思って読み終える。ふたりとも「あたしの声がすき」なのだ。

正直、この絵はあまり私の好みではないなーと思っていた。でも、話をずっと読んでいくうちに、飯島さんの表情もたまきの顔も、しっくりきた。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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