虹色ほたる 永遠の夏休み

虹色ほたる 永遠の夏休み
川口雅幸
\1,575
アルファポリス
2007年
手話サークルの人から借りた本。
話の運びは、もひとつ…と思ったし(かなり無理を感じる部分がある)、登場人物の造形もステレオタイプが勝ってる気がしたが、ところどころ、とくにタイトルにもなっている蛍が飛ぶシーンなどは、文字からイメージがふくらむようで、わるくなかった。
この本、アルファポリスの「ドリームブッククラブ」という、読者支援により書籍出版化を目指すサイト発らしい。
著者のサイトを探して見てみたら、なにかの推薦図書になったとかで、9刷だそうだ。
9刷なら、修正されているだろうとは思うが、私が借りた1刷にはよくある誤字が。
184ページの3行目、
▽若干小六のオレが
ここは、意味からして「弱冠」だろう。ひじょうによくある誤字だが、ごていねいにルビが振ってあるから、編集段階で誰も気づかずにスルーされたのだろう。
もう一つ、ケータイ持たずの私には詳しく分からないが、携帯電話の留守録というのは、電話本体に録音されているものなのか?
というのも、物語の冒頭で、主人公ユウタが交通事故死した父の形見として持っている、古い型の携帯電話がでてきて、
▽実はこのケータイには、お父さんの声がたくさん録音されているのだ。
何れもオレが借りた時に、お父さんがオレ宛てに伝言したもの。
そう、これは世界に一つだけしかない、お父さんのメッセージ入り携帯電話。
形見であり、オレの大切な宝物だ。(p.14)
という語りが入る。
昔のケータイのことも今のケータイのことも詳しくは知らないが、留守電というのは、どこかのセンターに録音されて、それを聞きにいくのではないのか? 電話本体に録音されるのか?
固定電話の留守録なら、私もわかる。今はデジタル式の録音になっている機種がほとんどだろうが、昔は、小さなカセットテープが入っていた。
祖母が死んだときも、母が死んだときも、いろいろな声が残ったその録音テープを、私は処分できず、そのテープがセットされていた電話機本体がつぶれてなくなった今も、引き出しに入ったままだ。
もう二度と聞けないだろうけれど、捨てられない。
ただ、ケータイの留守録がそんなものなのかは、私にはわからない。
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