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日本人を考える 歴史・民俗・文化

日本人を考える日本人を考える
(2006/03/16)
宮本 常一

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宮本常一の60年代、70年代の対談や鼎談を集めた本。

私はこんな旅をしてきた(向井潤吉)
“夜這い”こそ最高の結婚教育(大宅壮一)
地方人意識の変貌(浦山桐郎)
日本人(草柳大蔵;臼井吉見)
庶民の生活と文化―歴史のなかの江戸時代(速水融)
逃げ場のない差別のひだ(野間宏;安岡章太郎)
日本の子育ての知恵を訪ねて(青木一)
「逃げ場のない差別のひだ」は、かなり長い鼎談で、差別がどうして起こってきたのか、なぜ差別するのか、その感覚を考えるときに、参考になるように思った。

いろいろと抜き書きしておきたいところはあるが、時間がないので、一箇所だけ。青木一との「日本の子育ての知恵を訪ねて」の一部分。

宮本 私は、教育で一番大事なことは、自分が心のなかでハッと思ったことを忘れさせないようにしてもらうことだと思うんです。どんな人だって大事なことはみんな気がついている。その場でハッと思うんです。しかしいまの教育のなかで一番こわいことは、それを忘れてしまう、忘れるような教育をしているということなんだ。つぎの瞬間はもうつぎのところへ興味がいっている。最初にハッと思ったものを心のなかで温めていくと、そのなかから発見なり創作なりが生まれるんじゃないだろうか、そういうことがこれから先一番要望せられる教育じゃないだろうかという感じがするんです。それをもっともっと自分のなかで凝縮させて、たえずそこに関心をもっておったら、私のこの発見はもっと若いときに行なわれておったはずなんです。もっと若いときに行なわれておったら、日本の文化の発展のしかたについてもっといろいろなことを教えられたはずなんです。それを、その場ではこれは大きな問題があるのではないかと思いながら忘れ去っておると、忘れてしまえばもうそれでおしまい。しかし、この世の中に生をうけておるすべての人が、自分が非常に感動したこと、あるいは大きな疑問をもったことを心のなかで温めて発展させる……。そういう機会はみんなもっているはずなのに、温めて発展させていく人はごく少数だろうと思うんです。

青木 発酵させる間なしにつぎからつぎに関心が移っていく……。たんなる片々たる知識で終わってしまう。

宮本 それが学校のなかなどでどうしたら可能になるかというので、私は学芸会を非常に重要視しているんです。学芸会を、毎年先生により、好みによってやっていただくことはけっこうなのですが、一つだけ変わらないものが欲しい。劇なら劇でかなりレベルの高いものをやらせる。来年もやらせる。再来年もやらせる。演ずる子どもは違っているかもしれないし、先生も違っているかもしれない。しかしそれをやりますと見ているほうの子どもたちに、今年と去年とどちらがよかったかわかるんです。そして深まりができてくる。一つのものを繰り返していきますから。そのなかから、ここはどうしたらいいだろう、ここは工夫したらどうか、と。毎年違った演目をやっておったのではそれが出てこないんです。(pp.231-232)

河出から似たような対談集が出ていた。
『なつかしい話 歴史と風土の民俗学』
『旅の民俗学』

これもゆっくり読んでみたい。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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