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大量のポテンシャル(II)

 ここで「運動」と「スポーツ」の違いみたいなものについても考えなければならない。運動能力の特性がどのスポーツに適合するかで、稼げる金額も違ってくる。昔「巨人の星」に短距離選手が代走のスペシャリストとしてジャイアンツに入団してくるというエピソードがあったが、結局足が速いだけでは盗塁はできなかった。ま、漫画の話なんだけどね。ちゃんとした統計などないのだろうが、勉強と運動の「出来」を偏差値化して比べたら、運動の方が「稼ぎ」に直結していないという結果がでそうだ。いろいろ語弊があるとは思うが、たとえば「勉強偏差値70」と「運動偏差値70」では年収は前者のほうが多い、んじゃないかと思う。これがそれぞれ85になったら「運動」の方がひと山当ててるかもしれないけど。なんか偏差値とか年収とかいう言葉を使ったのは失敗かもしれない。どんどん読む人を「そんなもんで人生の幸福が計れるか」という気持ちにさせていっているかも。

 何を言いたいかというと、この「筋肉番付スペシャル サスケ2001」は、そんな金を産むことができなかった「運動能力」の終着の浜辺のようであるなあと思った、ということなのであるが。無駄(という言葉はまた大変に語弊があるが)な「勉強」の能力の漂着先は、かつての難問クイズブームで目撃した。この「サスケ」に代表される「筋肉番付」周辺は、その「運動」版と考えられる。とりあえずこの「サスケ」というゲーム(もう、その範疇にはないが)における優秀は、直接的には何にもつながらない。何の見返りもない。というのとはまた少し違う無駄感。見返りがないというのには、まだその見返りのなさに陶酔することの幸福感もあるだろうが、もうその域を越えてるから。腕立て伏せと腹筋に代表される「筋肉番付」的運動能力は、この一番組がなくなったらどうなるのだろうか。いや、彼等は鍛え続けるに違いない。しかし、相対的な優劣をつけられることが永遠になくなるのである。それが真の鍛錬、己の道、とかいうことなんだろうけど、でも解放されることのない大量のポテンシャルがこの日本列島に蓄積されていく、と考えると何かすごいな。('01・3・29)  (104-107ページ)
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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