もう施設には帰らない―知的障害のある21人の声(「10万人のためのグループホームを!」実行委員会
![]() | もう施設には帰らない ―知的障害のある21人の声 (2002/12) 「10万人のためのグループホームを!」実行委員会 商品詳細を見る |
この本のなかで「自分のためにも、人のためにも、いい実験材料になれればいいと思います」というタイトルで収録されている米田光晴さんの話をテープ起こしをしてまとめることになって、図書館でこれと、続編の『もう施設には帰らない 2』を借りてきて読んだ。返却期限がきたり、貸出枠内のやりくりもあって、いっぺん返したけど、また借りてきた。
米田さんは入所施設で35年暮らして、50歳をすぎてから地域に帰ってきた。「あまりにも自分が現実を知らなかった」と語っている。それは、「入所施設では、一人ひとり違う生き方を教えない」という問題提起だと、聞き取りをした牧野賢一さんがコメントしている。
▼「僕を実験材料に」という積極的なメッセージは、つい否定しがちな私たちの入所施設に対する見方に対して、そんな薄っぺらい批判ではなく、入所施設に生きる人たち一人ひとりの人生をしっかりと見つめてほしい、自分たちの人生は決して否定されるものではなく、必死に生きてきた姿が今の自分なんだということを訴えているように思います。(p.20、脚注)
入所施設で生きるのはダメで、地域で生きるのはオッケー、そんな簡単な話なのか?と、問われている気がする。いろんなことが頭にうずまく。養護学校へ行くのはダメで、地域の学校へ行くのはオッケー、そんな話なのか? そもそも、なんで「ここか」「あそこか」の話になるのか。
生まれたときから高校卒業まで養護施設で過ごし、そのあと3年を通勤寮に入所、21歳からグループホームで暮らすという松本さんの話にも、ぐるぐるとする。
高校を卒業するまで、だいたい10人部屋、200人くらいの施設にいた松本さんは、通勤寮へ移るときに、職員から「今度は、二人部屋だよ」と言われたけど、「隣の声が全部聞こえて、ちっともうれしくなかった」と言う。「四畳半に二人なんて、職員だったら住めないのに」と言う。(pp.115-116)
職員と心が通じたことは、たった一人をのぞいて、なかったと。
▼人を閉じ込める施設で働く職員は、そこにおるだけでどんどんひどくなる。いいほうへは絶対変わらへん。20年もいたからよくわかる。住んでいて元気になるところで働いたら職員も楽しいのに、なんでわからないんだろう。何が元気がでることかは、入ってる子に聞けばいい。簡単なこと。変な研修行っても無駄。(p.116)
今住んでいるグループホームでも悩みは多い、自分で責任をとるのもしんどい、「でも、自由を感じられるからやってられる、休みの日に何をしようかって考えるのはいいなあ」と松本さんは言う。米田さんも、同じようなことを言うてはった。
こないだ読んだ『地域生活のススメ』の福岡寿さんの小文も収録されていた。「施設の旅行を増やす。居室を個室にする。入浴を毎日にする。食堂の席を変える…。これが本当のニーズなんだろうか?」と書いてはった。それは「はじめに」で野沢和弘さんが書いてることにも通じることやなーと思う。
▼自然に囲まれ、明るく、広々としていて、職員たちの処遇技術や意識が高い、素晴らしい入所施設もあります。親が愛情を込め、長い年月をかけて手作りで築いてきた入所施設もあります。では、こうした良い施設で暮らしている障害者は果たして幸せなのでしょうか? ときどき施設を訪ねてくる親や行政の関係者の目には素晴らしい施設に映っても、その中でずっと生活している人がどう思うのかはまったく別問題です。(p.3)
この本とあわせて、米田さんも載ってる『PandA-J』を人から借りて読んだ。"地域"で暮らすこと、施設という場所のこと、いろんなことにつながってる話やと思いながら読んだ。ハンセン病療養所で50年暮らして、退所した森本美代治さんの小文も『もう施設には帰らない』には入っていた。
高校を卒業するまで、だいたい10人部屋、200人くらいの施設にいた松本さんは、通勤寮へ移るときに、職員から「今度は、二人部屋だよ」と言われたけど、「隣の声が全部聞こえて、ちっともうれしくなかった」と言う。「四畳半に二人なんて、職員だったら住めないのに」と言う。(pp.115-116)
職員と心が通じたことは、たった一人をのぞいて、なかったと。
▼人を閉じ込める施設で働く職員は、そこにおるだけでどんどんひどくなる。いいほうへは絶対変わらへん。20年もいたからよくわかる。住んでいて元気になるところで働いたら職員も楽しいのに、なんでわからないんだろう。何が元気がでることかは、入ってる子に聞けばいい。簡単なこと。変な研修行っても無駄。(p.116)
今住んでいるグループホームでも悩みは多い、自分で責任をとるのもしんどい、「でも、自由を感じられるからやってられる、休みの日に何をしようかって考えるのはいいなあ」と松本さんは言う。米田さんも、同じようなことを言うてはった。
こないだ読んだ『地域生活のススメ』の福岡寿さんの小文も収録されていた。「施設の旅行を増やす。居室を個室にする。入浴を毎日にする。食堂の席を変える…。これが本当のニーズなんだろうか?」と書いてはった。それは「はじめに」で野沢和弘さんが書いてることにも通じることやなーと思う。
▼自然に囲まれ、明るく、広々としていて、職員たちの処遇技術や意識が高い、素晴らしい入所施設もあります。親が愛情を込め、長い年月をかけて手作りで築いてきた入所施設もあります。では、こうした良い施設で暮らしている障害者は果たして幸せなのでしょうか? ときどき施設を訪ねてくる親や行政の関係者の目には素晴らしい施設に映っても、その中でずっと生活している人がどう思うのかはまったく別問題です。(p.3)
この本とあわせて、米田さんも載ってる『PandA-J』を人から借りて読んだ。"地域"で暮らすこと、施設という場所のこと、いろんなことにつながってる話やと思いながら読んだ。ハンセン病療養所で50年暮らして、退所した森本美代治さんの小文も『もう施設には帰らない』には入っていた。
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