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日本の村・海をひらいた人々/ふるさとの生活/民俗学の旅(宮本常一)

日本の村・海をひらいた人々 (ちくま文庫) ふるさとの生活 (講談社学術文庫) 民俗学の旅 (講談社学術文庫)

未来社から出ている宮本常一の著作集は、今も刊行が続いている(未来社のサイトを見たら、最新刊は第50巻「渋沢敬三」、別集の私の日本地図は「瀬戸内海II 芸予の海」が今年になって出ている)。著作集をむかし図書館で借りてみたこともあるが、あまりに膨大なのでとても読めず、私がもってるのはほとんどが文庫本や新書、ライブラリー版など小さいサイズで出たもの。

こないだ久しぶりに本棚から出してきて、『日本の村・海をひらいた人々』『ふるさとの生活』、そして『民俗学の旅』を読んだ。なんど読んでも、読みふける。前に読んだときには知らなかった土地の名を、再び読んで(ああ、こんなところにあそこの地名が)と思ったり、(あの人が住んでるところやなあ)と郵便の宛先で知っている地名を思ったりする。
道のないようなところまで、日本の各地をくまなく歩いたといわれる宮本常一。旅にでた先を歩き、風景と人の暮らしをよく見つめ、人の話を聞いてきたものを記録にとどめ、あるいは心にとめて、また別の地で出会ったものと照らしあわせたり、書きのこされたものと比べたりしながら、それぞれの土地で、そこを住みよいものにしようとしてきた先祖の人たちの暮らしや働きを考えている。

▼ひとり歩いていて、まったく人手のくわわっていない風景に出あうことがあります。海岸に波のうちあっている所とか、山の中の木のしげっている所とか、または川のほとりなどですが、そういう風景は何となく心をさびしくさせます。しかし、人手のくわわっている風景は、どんなにわずかにくわわっていても、心をあたたかくするものです。海岸の松原、街道のなみ木みちをはじめ、植林された山もまた、なつかしい美しさをもっています。そうした所に見出す一本のみちも、こころをあたためてくれるものです。(『日本の村・海をひらいた人々』、pp.11-12)

宮本が小学校教員をしていたときに、子どもたちによく話したというこの言葉も、なんど読んでも心にのこる。
▼「小さいときに美しい思い出をたくさんつくっておくことだ。それが生きる力になる。学校を出てどこかへ勤めるようになると、もうこんなに歩いたりあそんだりできなくなる。いそがしく働いて一いき入れるとき、ふっと、青い空や夕日のあたった山が心にうかんでくると、それが元気を出させるもとになる」(『民俗学の旅』、pp.75-76)

戦後、大蔵大臣をしていた渋沢敬三から、幣原首相が大変なことを考えておられる、これから戦争を一切しないために軍備を放棄することを提唱しようとしておられると聞いた宮本は、渋沢とこんな問答をしている。

▼「軍備を持たないで国家は成り立つものでしょうか」とおたずねすると「成り立つか成り立たないかではなく、全く新しい試みであり行き方であり、軍備を持たないでどのように国家を成立させていくかをみんなで考え、工夫し、努力することで新しい道が拓けてくるのではないだろうか。一見児戯に等しい考え方のようだが、それを国民一人一人が課題として取り組んでみることだ。その中から新しい世界が生まれてくるのではなかろうか」と言われた。(『民俗学の旅』、pp.146-147)

「原子力による発電をなくしていくこと」は、電気がタリナイ、原発はアンゼンという人たちからは、「児戯に等しい」と思われているのだろう、と思う。「成り立つものでしょうか」と思う人もたくさんいると思う。「原発をもたない」ことは、全く新しい試みではなく、原発をもたないでいた経験がある。経験があるから、そういう行き方は容易かというとそんなことはないと思うが、パチンコ屋の表の看板が暗いぐらいでちょうどいいのではないかと、やや薄暗くなっている駅前を見て思う。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在89号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第55回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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