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良い支援?―知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援(寺本晃久、岡部耕典、末永弘、岩橋誠治)

良い支援?―知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援良い支援?
知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援

(2008/11)
寺本晃久、岡部耕典、末永弘、岩橋誠治

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『良い支援』は、出たころから、ときどき借りては少し読み、全部は読みきらずに返しては、また借りて…というつきあいをしていた本だった。このたびようやく、てっぺんから最後まで、通しで読んだ。

「私たちに関することは私たちが決める」、言い換えれば「私たち抜きで私たちのことを決めるな」という、自己決定や当事者参画の流れ、そして「地域で生きる」というノーマライゼーションの流れが、障害者の「自立生活」運動にはある。

その大きな勢力だったのは「青い芝」なのだろう。「自立」とは、誰の助けも借りず自分でなんでも全部やるとか稼いでナンボということではなくて、自分で自分の暮らしや生き方を決めていくことなのだ、自己決定なのだと、つぎつぎに「自立」した人たちの姿は、自立の考え方をゆさぶり、広げたところがある。
▼他方、そうした自立観=自己決定する自立という考え方においては、能動的な意思/意志と、それを伝える力が当事者本人に求められます。もちろん障害当事者同士の価値観の共有や力づけ(エンパワメント)が目指されるといったことはありましたし、いろいろな形での支援によって、あるいは経験の不足で失った能力や感情を取り戻すことによって、意思/意志を発見し伝えられるようになる。それは確認されるべきだと思います。ただその考え方が、現実には、知的障害/自閉の人たち─特に意思/意志を表明しにくい、「重度の」と言われる人、そして一般的な社会のルールにのれないために生きていくのが「大変になっている」人─が自立生活を始めることを難しくしている面もあるのではないでしょうか。(p.8、寺本晃久)

この本は、「既存の知的障害者福祉(つまりハコを前提とすること)ではなく、自立生活運動の延長にある支援・介助とも重なり/けれども必ずしも同じではないような、「何か」を打ち立てられないか」と考え、これまでやってきたこと、言ってきたことを振り返り、次へつなげていくために一緒に考えたい、と書かれている。

どの章も、行きつ戻りつ、ゆっくりゆっくり読んだ。とくに6章の「当事者に聞いてはいけない─介護者の立ち位置について」(末永弘)が私にはおもしろかった。

「当事者主体だから当事者にきく」ということはどうなのか。「人に質問して考えをきく」というコミュニケーションの取り方のよしあし、その難しさ。あるいは、利用者・介護者の双方が介護制度という金銭を媒介として選んでいく、「時間で介護を買う/売る」という関係のあり方はいいのか。本人と介護者とコーディネーターとの関係。

こないだ『カニは横に歩く』を読んだときにも、介護とお金のことは、もやもや~と考えたが、やはり、お金が結ぶ関係のことをもやもや~と考える(これは働くこととお金として考えてもいいのかもしれない─私はお金があるから働くのか?とか)

「地域で生きる」というときの「地域」ってどこなん?というのも、久しぶりに思いだした。8章では障害者自立支援法にからんで、こう書かれていた。
▼…もし「福祉」を測り「自由」の配分を決める「基準」をどうしても作らなければならないというのだとしても、それはやむを得ず、用心しながら、限定して、使われるものではなくてはならないといことでもある。そして、「話し合い」が成立する範囲というのが、「地域(コミュニティ)」のそもそもの定義であり、だから、これからは「地域福祉」、ということであったはずである。(p.256、岡部耕典)

私にとって、「話し合いが成立する範囲」は、どこらへんになるかなあと思う。そして、その範囲で、ともに生きる人たちは誰なのか。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第67回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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