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甘い関係(田辺聖子)

甘い関係甘い関係
(2010/09/03)
田辺聖子

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古い文庫が新装なって出たというのは知っていて、こないだ図書館でふとあったので借りてみた。「ワリカン独立」の同居生活を送る女3人が描かれる。6帖と3帖、台所、よく故障する水洗便所がある、アパートの一室が3人の城。

▼家はそれぞれ、大阪近郊にあるのだが、居辛い、というより独立したほうがお互いに気やすい状態なので女同士で部屋をもつことを考えついたのだった。
 いまの若い女のサラリーでは、一人で暮らせるほど余裕はないし、部屋もひどい場所しか当らない。しかし、二、三人で組むと、ちょっとした部屋にありつけるし、生活も何かと便利になる。「ワリカン独立」とでも、いうべきであろうか。(pp.44-45)

雑誌編集の仕事をする彩子は23。20になったばかり、歌手志望の町子は惚れっぽい。小金を貯めてる美紀は29の会社員。それぞれに、仕事のうえでの苦労はそれなり、職場の人間関係でのいらいらもやもやがあり、あるいは惚れたはれたはらんだの当事者になり、日々は、淡々とはいかない。ときには憔悴しても、それでも機嫌よく暮らしていく女3人に、また笑う日もやってくる。
アパートの間取りや、電話を一本かけさせてと公衆電話の前でクルマをとめるとか、そういうところは"時代"を感じるが、ココロの機微のようなものは、今読んでも古くささはなくて、3人の言動にちょっとはらはらして、わかるな~と思ったりしながら読める。

私がうまれるより前に書かれた小説の、この主人公たちがリアルタイムで生きていたとしたら、町子は団塊の世代、彩子は戦争が終わる少し前の生まれで、美紀は国民学校に入る頃に戦争が終わっている。美紀は、ちょうど母と同じくらいの歳で、そう思うと、母たちの世代やそれより少し若い女たち、とりわけ学校を出て勤めに出ていた「若いころ」をもつ女たちは、こんな風でもあったのかもしれない、と思った。「ワリカン独立」はめったになかっただろうけれど。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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