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ラーラはただのデブ(シェリー・ベネット)

ラーラはただのデブラーラはただのデブ
(2003/03/20)
シェリー・ベネット

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読みはじめて、レベンクロンの『鏡の中の少女』『鏡の中の孤独』みたいやなーと思った(レベンクロンの本は、そのむかし、橋本治がどこかで、女の子はレベンクロンの『鏡の中の少女』、男の子はシリトーの『長距離走者の孤独』を読めと書いていて、シリトーは読んでいたので、レベンクロンを探して読んだのだった)。

53キロ、58キロ、61キロ、71キロ、81キロ、86キロ、94キロ、95キロ、98キロ、96キロ、95キロ、94キロ…と、章のタイトルがすべて重さで書いてあるこの本は、幼いころから数々の美人コンテストで優勝してきたというラーラの、体重増加にともなって自分のココロが「何か」でぐっちゃぐちゃなことがわかっていく話。

ラーラ自身は、その「何か」は、ただ体重増加であって、この増え続ける体重さえ元に戻れば、すべての問題はなくなると思っているらしい。まるで、いまぶくぶくとデブになっていってる私は「私じゃない!」とでもいうように。
意志を強くもてば全てのことはコントロールできる、というのがラーラと、その両親の強烈な信条。体重もスタイルも成績も、仕事も夫婦の愛情も、ここまでずっと「運命を自分で切り開いてきた」(傍から見ると、ものすごい気合いで乗り切ってきたような)この3人を「完璧だ」と世間様は言っているようだが、そんなもんやおまへんでー。

「自分にはどうにもできないものって、たくさんあるよ」というのは、言い訳か?

薬の副作用、病気、そのせいで自分の体重はどんどん増えてるの! 私はこれだけがんばって、これだけコントロールして、それでも体重が増えるの!医者も認めてるの! ただの意志薄弱でデブなあなたとは違うのよ! とラーラは言いたくてたまらない。

周りのデブは、自分と違って、たんに意志が弱いだけ。たんに、コントロールができなかったというだけ。そんな周りのデブに、「きもち、わかるわ」なんて言われるのは心外だ!あなたと一緒にしないでよ!

けれど、結局のところ、ラーラは「ただのデブ」に見えてしまうのだ。

デブ=完璧じゃない私、デブ=だめな私、デブ=ほんとの私じゃない!と強く強く思い込んできたラーラが「わたしはいまのままで充分にオーケイだわ─たとえあなたがそうは思わなくても」(p.357)と、腑に落ちて言えるようになるには、まだ当分かかるのだろう。

自分の感じている不安、自分の感じている怒り、自分自身が感じていることを自分で受けとめ、それを言っていいのだ、ちゃんと感じていいのだと思えるようになってきたラーラ。

「もう痩せることはどうでもよくなったとも言えない。実際、どうでもよくない。ぜんぜんよくない。 でも、痩せることはわたしにとって、もう【すべて】じゃない。(p.362)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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