FC2ブログ
 
読んだり、書いたり、編んだり 

大塚女子アパートメント物語 オールドミスの館(川口明子)

大塚女子アパートメント物語 オールドミスの館にようこそ大塚女子アパートメント物語
オールドミスの館にようこそ

(2010/10)
川口 明子

商品詳細を見る

もらったので読んでみる。同潤会の大塚女子アパートメントハウスが取り壊しになる!というので駆けつけたときには、もう解体工事が始まっていて、その外観を写真におさめることもかなわなかった著者が、「オールドミスの館」とよばれたこともあるというこのアパートの設立経緯や、ちょっと有名なかつての住人(たとえば古川丁未子、小野アンナ、戸川昌子、駒尺喜美)を数人と、その他入居していた人の声を古い雑誌などから拾って調べて書いた本。

アパート、という語感から、私はなんとなく、そういうちょっと有名な人も含むわりと小さな規模の集合住宅(せいぜい10戸か20戸ぐらい)を勝手にイメージして読んでいたが、よくよく読むと、このアパートは独身用居室が150室ほどもあり、店舗も5軒あるという、かなり大きなものなのだった。
1930年、昭和でいえば5年に建ったこのアパートは、交通の便がよく、80人入れる食堂があり(居室には調理設備なし=食堂で食べるのが前提)、各階には水洗の共同トイレ、地下には住人用の共同浴室やシャワー室、応接室やサンルームなどもあり、家賃もかなりお高い物件で、当時の、それなりに高給のとれる職業婦人(教師、タイピスト、銀行会社員、記者・著述家など)が入ったものらしい。

入居申込みの倍率は20倍にもなったそうで(150室ほどあるアパートだから、3000人以上が申し込んだということか)、「仕事をもった女性にとって憧れの住まい」だったと著者は書いている。今やったら、どんな感じか。あそこに住むのはオシャレ、カッコいい、ってことか。

戦後はここは都営アパートとなり、「高給とりの独身職業婦人」が入る時代は終わり、「経済的に困っている人」のための公営住宅になる。駒尺喜美はその時代に、住人だった婦人民主クラブの人の部屋に居候でころがりこみ、その後、抽選であたって部屋を借りたらしい。

著者は、女性が一人で家を構えて生活する、というスタイル、それが世帯のあり方の一つとして認知されたさきがけとなったのが、この大塚女子アパート「オールドミスの館」だったのではないかという。

▼…シングルの女の生活とは、あくまでも結婚する前の一時的な生活であったり、夫に死に別れたとか離婚したなどの想定外の事態の結果ととらえられていた。
 たとえ住宅を購入しようと考えても、そのための公的な融資も独身女性は受けられなかった.独身婦人連盟の働きかけにより、「40歳以上の単身者」も住宅金融公庫の融資が受けられるようになったのは、1981年度からである。
 日本の社会にとっては三世代同居とか核家族などが正しい「世帯」のカテゴリーであり、男性の場合も同じだろうが、シングルの女性の世帯というものは、「その他」扱いでしかなかったのだ。(pp.187-188)

男子禁制だった「オールドミスの館」に向けられた世間の悪意について著者がコメントしているなかで、「私としては、人間も生物としての種の保存のために男と女が引き合うように遺伝子に情報が組み込まれているのだから、それを肯定的にとらえてもいいと思うのだが」(p.69)というところだけは、その著者の考えに、えー、どうなん、遺伝子ぃ?と思った。男と女が引き合う「正しい」生物と、「その他」の生物がいるんかいなー、遺伝子って言われてもなー。
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/1646-7eab4ab2
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ