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子どもたちと話す 天皇ってなに(池田浩士)

子どもたちと話す 天皇ってなに?子どもたちと話す 天皇ってなに?
(2010/07)
池田 浩士

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現代企画室のこの「娘/子どもと話す」シリーズは、これまでもいろいろ読んでいる。この『天皇ってなに?』が出ているのに気づいて、図書館へリクエストして入るのを待っていた。その間に、チリのアルピジェラ展で、現代企画室の太田昌国さんの話を聞いたりもして、まだかな~と思っていたら、やっと届く。

子どもたちと、どんな風に「天皇」について話すんやろと思っていたら、この本は「暦」を切り口に、おじいちゃんと子どもたち(孫)が、天皇を考えていくのだった。

暦!
いまの祝祭日のほとんどは、天皇がらみのものなのだった。明治維新から6年目、太政官布告によって定められた祝祭日はすべて天皇関係だったが、明治維新から3年目の太政官布告で定められた祝日は天長節をのぞき、すべて旧暦の節句だった。「明治維新後の日本の進路が、この3年の間に大きく変わったことを、物語っているといってもよい」(p.36)と、おじいちゃんは語っている。

天皇カレンダーに変わった年は、太陰暦が太陽暦に変わった年でもあり、明治天皇の誕生日9/22が新暦で11/3にあたり、ここが天長節になった。そして、元号が天皇と結びつけられたのは明治維新よりあとで、天皇と元号が1対1でぴったり対応しているのは、まだ「大正」と「昭和」だけである。

もう一つ、暦に関してびっくりしたのは戦争のカレンダーで、日本という国が「天皇に関係する祝日に重要な軍事行動を起こす」(p.48)ということは、敵国も知っているほど有名だったらしい。例えば、

・日本軍がバターン半島の総攻撃を開始したのは4月3日=神武天皇祭
・日本軍のミンダナオ島への上陸作戦を敢行したのは4月29日=天長節(昭和天皇の誕生日)
・日本軍が中国南部の海南島に敵前上陸したのは2月10日、敵の裏をかいて1日早めた=予定では2月11日=紀元節
・中国への本格的な軍事攻撃開始は11月5日=敵は明治節(11/3)に日本軍が来ると待ちかまえているだろうと2日遅らせた

そして、「戦後」にも天皇カレンダーが関わっている。

・新憲法の公布は11月3日(明治節)→半年後に施行(=5/3=憲法記念日)
・東京裁判の起訴状発表は4月28日=翌日(4/29=天皇誕生日)の新聞に掲載
・起訴状が極東軍事裁判所に提出されたのは4月29日
・28人の戦犯のうち最後に拘束された松井石根の収監は3月5日=翌日(3/6=地久節=皇后誕生日)の新聞に掲載
・7人のA級戦犯の処刑は12月23日=皇太子(現天皇)の誕生日

いまの「祝日」のなかで、明示的に"天皇"が見えるのは、12/23の天皇誕生日ぐらいで、昭和天皇の誕生日だった「昭和の日」のほか、少し詳しければ「建国記念日」や「文化の日」や「海の日」が天皇がらみだと分かるぐらいだろう。

この「見えなさ」が、天皇制が日常生活のいたるところにある、ということなんやろうなと思う。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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