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中学社会 歴史的分野(大阪書籍)

中学社会 歴史的分野(大阪書籍)

『部落差別をこえて』で、学校での部落問題の教え方が昔とはかなり違っているというのを読んで以来、最近の教科書では何がどんな風に書かれているのかと、近所の図書館で比較的新しい社会科の教科書を読みたいとレファレンスを頼んでいた。

出てきたのは、大阪書籍の『中学社会 歴史的分野』と、東京書籍の『新編 新しい社会 公民』で、いずれも2005年3月に検定済というバージョンだった。

歴史分野の教科書の目次は、2006年度から使用されている教科書の目次を翻訳するサイト「カレイドスコープ」に掲載されていた(ここは「日本政府外務省からの委託を受け」、「日本の教科書に対する海外の関心の高まりを踏まえ、歴史教科書の内容を正確に海外に発信しようとするのが目的」で、2005年度の検定で合格した教科書すべてを掲載しているという)。

大阪書籍『中学社会 歴史的分野』の目次
記憶が正しければ、私が中学生のときに使っていたのも、大阪書籍の歴史の教科書だった。それもできたら比べて読みたいと思って図書館にきいてみたが、その時代のものはあいにく図書館に所蔵がなかった。私は社会の教科書はほとんど保存している(はず)なので、ウチのダンボールのどこかに昔の教科書もあるはずなのだが、すぐには出てこない。

今の教科書はまずサイズが違って、A4になっている。中もやたらカラフルである。私が使っていた教科書はA5サイズで、本文はモノクロ、カラーは口絵の写真くらいだった。私の記憶では、その大阪書籍の歴史の教科書はいくつかの写真をくみあわせたデザインで、風神だったか雷神だったかが入っていた。

最初は部落問題に関する記述がどうなっているかをあっちこっち探して読んでいたが、やはり興味があるので女性の人権がどうのという部分やら、朝鮮や中国についてどのように書かれているかという部分も、あっちこっちめくっては読んでいた。

江戸時代の身分制についての記述は、こんな風だ。
▼…百姓・町人のほかに「えた」や「ひにん」などとよばれる身分がありました。「えた」身分の多くは、農業を営んで年貢を納めたり、死んだ牛馬の処理を担い、皮革業・細工物などの仕事に従事したりしました。また、これらの身分のなかには、役人のもとで、犯罪人の逮捕や処刑などの役を果たす者、芸能に従事して活躍する者もいました。このように社会や文化を支えながらも、これらの人々は、百姓・町人からも疎外され、特に江戸時代の中ごろからは、住む場所や、服装・交際などできびしい制限を受けました。…(「江戸時代の身分制」、p.101)

『部落差別をこえて』で臼井さんが言及していた内容に似て、たしかに、不満の捌け口として士農工商の下に被差別身分をつくった、というようなことは書いていない。

数ページ先には、「豊かになる人々と身分制のひきしめ」という囲み記事がある。
「えた」身分の人々のなかにも豊かな人たちが出てきて、他地域との交易も広まったという話の次はこうだ。
▼…これに対して幕府や藩は、「身分制」のひきしめを強め、特に「えた」や「ひにん」などの身分の人々に対しては、人づきあいや髪型・服装について、きびしく統制しました。その結果、人々のあいだに差別意識がいっそう浸透していきましたが、こうしたなかでも、これらの身分の人々はたがいに助け合い、結束して生活を向上させていきました。(p.107)

子どもは教科書の内容をすこんと頭に落とし込むばかりではないと思うが、教科書に対する「正しさ」意識はけっこうなものだと思うので、自分が使っていた教科書にはどんな風に書かれていたのか、やはり読んでみたくなる。うちのダンボールをひっくりかえすか、図書館ではなく教育センターには過去の教科書もあるそうなのでそれを見にいくか、近いうちに見てみたい。

日本が植民地とした台湾や朝鮮については、日清戦争後の「下関条約」や、日露戦争後の「韓国併合」にはじまり、「三・一独立運動」や関東大震災で数千人の朝鮮人が虐殺されたこと、1929年の光州学生事件、1930年の霧社事件、創氏改名などの皇民化政策、国家総動員法や国民徴用令による朝鮮や台湾での徴兵、徴用…と、記述はずっとあるのだが、「日本の降伏」によって、これらの植民地がどうなったかについては、全く記述がない。従軍慰安婦についても、全く記述がない。

"戦後"は、朝鮮戦争、そして1965年の日韓基本条約まで飛ぶ。教科書本文の最後に「国際社会と日本の役割」と小見出しがあり、その最後のところで国内にも解決しなければならない問題があると列記されるのは「部落差別、障害者や女性、在日外国人、アイヌの人々などへの偏見や差別」(p.227)となっている。

「など」には何が込められているのだろうと思いながら読む。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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