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構造的差別のソシオグラフィ 社会を書く/差別を解く(三浦耕吉郎=編)

構造的差別のソシオグラフィ 社会を書く/差別を解く構造的差別のソシオグラフィ
社会を書く/差別を解く

(2006/03)
三浦耕吉郎=編

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伊丹・中村地区のレファレンスを頼んだら、『生きられた法の社会学』と一緒に出てきた本。この中に、金菱の「「不法占拠」の系譜学」と、編者でもある三浦の「「不法占拠」を生きる人びと」が入っている。いずれも中村地区のことを書いたもの。

ちょうど渋谷の宮下公園の行政代執行が新聞で報じられたのを読んだりして(3紙ほど見た)、ここのところがキモなのかもと思えた(宮下公園がどんなところかは行ったこともなくて全然知らないけど、以前から時々こんなサイトを見ていた)。

▼行政によってしばしばおこなわれる強制排除などの手法は、「不法」という名のもとに「やむをえない」ものとして広範な支持を集めてきた。たとえば、近年日本各地で繰りひろげられるホームレス(「不法占拠」)に対する強制退去がそれである。その一方で、今や公園は、ペットなどのための空間(たとえばドッグラン)として整備されているところもでてきている。公園という公共空間の利用目的にふさわしくないという点から、人間の排除が躊躇なくおこなわれていく。このように法律的な「正しさ」から、「不法なるもの」をひとくくりにして人々を排除することが当たり前のこととされる。(金菱、pp.138-139)

ここにまず疑問をさしはさんでみたい、だから、「不法占拠」そのものがどんなかたちで立ち現れてくるのか、「不法占拠」の構築プロセスを丹念に記述する。そうすることで、「正しくない」とされているもの、行政の排除もやむなしという判断の根拠になっている「不法占拠」を脱構築できるのではないかと金菱は書く。

「法律=(唯一)正しい」という近代社会の「奇妙な」むすびつきを一度絶ちきることで、法とは異なる水準の「正しさ」の可能性を探ってみたい(p.139)、というのである。

それは、たぶん「公共性って、何?」という問いにも結びついている。たとえば宮下公園の場合、公園で守られるべきだという公共性は何なのだろう?東京ではもっと詳しい報道があるのかもしれないが、大阪では小さい記事が載るくらいでよくわからない。
この本には、中村地区の話のほかに、"セックスボランティア"についてちみちみと考えてみたような文章や、"介助"の技術について書いたのや、野宿者支援の場での"応答困難"のことを書いたのなど、本のタイトルにあるように「構造的差別」の「ソシオグラフィ」というものが収録されているらしい。

構造的差別って何?
ソシオグラフィって何?


編者の三浦による序章を読むと、こんな風に説明してある。一度読むと、ほうナルホドと思ったりするが、よくよく読むと、頭がコネコネになってくる文章である。長いし~。

▼…〈構造的差別〉という発想の核にあるのは、従来の社会科学が想定していたマイノリティ(=被差別者)とマジョリティ(=差別者)という二分法的思考を根底から問い直そうとする、きわめてラディカルな姿勢です。…(中略)…

 〈構造的差別〉とは、従来の「実態的差別」や「心理的差別」という考え方を根本的に批判するところから導かれた「関係的差別」という考え方に依拠するものです。ここで、「関係的差別」の特徴とは、私たちがある種の関係性のなかにおかれると、個々人の偏見や差別意識の有無とは無関係に、差別に荷担させられたり、差別を引き起こしてしまうことがある、という点にあります。

 その意味で、〈構造的差別〉とは、差別現象を、いわゆる実体的(ないし客観的)な水準においてではなく、関係的水準において把握しようとするものであって、前者の実体的観点から把握された「実態的差別」や「心理的差別」との対比を念頭においてみた場合、差別する側とされる側がおかれた社会的な関係性の特質に起因する、いわば「意図せざる差別」だということができるのです。(pp.3-4)

「関係的差別」と〈構造的差別〉は、どうちゃうの??
被差別者と差別者、という二分法的思考を問い直すと言うけれど、「差別する側とされる側がおかれた社会的な関係性の特質に起因する…云々」と言われちまうと、結局、二分された両者の間の関係性と言ってるように読めて、どっちなん??と思ってしまう。

「関係」とは、どなたとどなたの「間」なのか?? 私にはこの説明文がすんなりアタマに入らない。

「ソシオグラフィ」は、「社会的な関係性にかんする深さのある社会的記述」(p.6、下線は原文では傍点)とか、「記述の基本的な対象が、社会の集団や組織やネットワークや制度を基礎づけているさまざまな社会的な集団の社会的な関係性の水準におかれているという点が重要」(p.7)とか書いてある。そして「当時者性実践性を重視」(p.7)するという。

相貸で借りられる期限までに、収録されてる数本を読んでみた。これが、「構造的差別」の「ソシオグラフィ」なのかどうかは、よくわからなかったけど、マジメな若い院生さんが、ちみちみとマジメに考えたことが書いてある、という印象だった(著者には、年嵩の教授さんも含まれているけれど)。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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