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バラ色の怪物(笹生陽子)

バラ色の怪物バラ色の怪物
(2007/07/14)
笹生 陽子

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こないだ『ぼくらのサイテーの夏』と一緒に借りてきた本。こっちは中学生の話。ココロもカラダもめきめきと大きくなり、なにかとバランスがわるく、ぐちゃぐちゃとしている頃。同級生とあわなくなるところも出てくるし、親を気遣い、しかし親のちょっとした一言に荒れたりする。そんな中学生を書いた物語。

作者の笹生陽子は、中学校をこんな風に書く。
▼…中学校というのは、じつに摩訶不思議な空間だ。いや、どんな個性も生きざまも義務教育の名のもとに受け入れざるをえない、といったほうが正しいかもしれない。(p.132)

読み終わってみると、表紙のふたりは、主人公の遠藤(眼帯)と、隣のクラスの吉川ミチル(蛍光ピンクのベリーショート頭)だった。
遠藤は朝礼でクラっとぶったおれてメガネを壊してしまい、しかし母と二人のけっして豊かとは言えない生活のなかでメガネを新調することを母に言い出せずにいる。同級生の宇崎に誘われて、メガネのために秘密のアルバイトを始めた。それは、他校の上級生・三上が率いる「行動する中学生の会」と称するグループでの、ネットオークションなどを使ったトレカ販売だった。

学校では、あまり勉強もできない遠藤に、内申点稼ぎのために奉仕活動はどうかと担任にすすめられ、校内の温室管理を引き受ける。その温室を居場所にしていた変人女の吉川ミチルと、遠藤は少しずつ話すようになり、あたしにも過去というものがあって、こんな蛍光ピンクの頭にするまでは友達だってふつーにいたのだと聞く。

物語は、遠藤が三上の秘書兼ボディガードを務める夜と、吉川と学校の温室で会う昼を語りながらすすむ。

吉川が、それまでつるんでいた仲間と離れて気づいたことを遠藤に語る。
▼「…あっちを離れてこっちに来たら、それまで自分のいた場所がどんな場所だったのか、よく見えるようになったんだ。ほら、あたしくらいの年ごろになると、反抗期だの思春期だので、世の大人たちがみーんなずるくて汚く思えてくるじゃない? 若い人たちは純粋で、だから汚い大人たちと戦わなくちゃいけない、なんてまじめに考えたりしてさ。でも、あれって半分うそだよね。もう半分は本当だけど。…知ってる? 遠藤。子どもの真の敵って、じつは子どもなんだよ」(p.133)

そう、吉川の言うように、「みんなといっしょでないと不安でしかたがないくせに、群れようとしない者をやたらと敵視したがる小心者」や「他人の不幸をむさぼり食ってぶくぶく太る怠け者」など、そこにもここにも小さな怪物たちがいるのだ。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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